山ん中の獅見朋成雄 舞城王太郎

山ん中の獅見朋成雄

山ん中の獅見朋成雄

背中に「鬣」を持つ主人公「獅見朋成雄」と、彼の書の師匠である「モヒ寛」が主な登場人物。なんか舞城王太郎って、全盛期の筒井康隆みたいな「これまで見たことない世界」を提示してくる作家だなー(しかもただ提示するだけじゃなく、ゴアーンと頭をどついて目の前にホレホレホレと押し付けてくるような感じ)。人を食べるという禁忌と、その禁忌に対する様々な価値観のぶつかり合いの物語であった。山の中で怪しげな人を見かけてからの展開がジェットコースターみたいに急速展開ぐるぐるぐるーという具合だったので、引き込まれて夜中に一気に読んでしまった。うーん、やっぱり主人公の内面描写、動きの描写が迫力があっていいなあ。ミステリーというかSFというか、ジャンルはよくわからないのだけど、異世界性が存分に堪能できる作品だった。B