ゲーム大国ニッポン神々の興亡―2兆円市場の未来を拓いた男たち 滝田誠一郎

プロジェクトXのような企業成功ストーリーや、戦国時代・三国志のような乱世英傑伝が好きな人にはたまらない本だと思います。日本におけるテレビゲームの発展、成功の礎を築いた男たちの物語です。物語というか取材とインタビューによるドキュメントといったところでしょうか。
まず「ファミコン以前」の歴史があります。多くの人はインベーダーゲームを想起されるのではないかと思いますが、インベーダーゲーム以前にもビデオゲームがあって、それらについても色々と書かれてあります。そしてドンキーコングファミコンスーパーマリオという任天堂時代の話。神こと宮本茂も何度か登場します。そしてファミコン全盛期を築くことになる堀井雄二ドラゴンクエスト坂口博信ファイナルファンタジーについてのエピソードもふんだんに載っていて「あの頃」の小学生だった僕にはたまらない。
さらに「打倒任天堂」時代とでも言いましょうか、セガやハドソンのゲーム機の話も出てきます。PCエンジンは、ゲーム機としての機能はファミコンより上だったにもかかわらず、ファミコンを倒すことはできなかった。
そして時代は大きく展開する。ソニーによるCDROMを使うゲーム機「プレイステーション」が開発される。当初は社内でも否定的だったこのゲーム機だが、ゲーム業界はまさに乱世となる。ソニーにつくか、任天堂につくか。ここでも、プレイステーション成功のカギを握ったのは人気コンテンツ(ソフト)の存在だった。「ドラゴンクエストプレイステーションに」というニュース。ジャンプでその記事を僕はリアルタイムで読んでいた覚えがある。その後のプレステの大成功は、現在のプレステ2PSPを見ても明らかである。
しかし、プレイステーションも決して問題なく天下を支配していたわけではない。プレステに反旗を翻したゲームクリエイターもいた。その男、飯野賢次。異彩を放つゲームクリエイターだった。
この本は2000年の6月に発売された本である。まだX-BOXはその開発、販売が発表された頃だったので、その後の話は乗っていない。しかし、日本におけるゲームをめぐる物語は、ここまで多岐的で広大なものだったのかと非常に面白く読めた。A−