働きマン 2巻 安野モヨコ

働きマン(2) (モーニング KC)

働きマン(2) (モーニング KC)

マッサージ師の人のエピソードが好みでもあり、特に良かった。松方弘子側(マスコミ側)の方も面白いんだけども、こういう業界はまあこういう感じだろうなーというのと、どうも「マンガ家・安野モヨコ」の残影が物語の背景にチラチラ見てしまい、他の安野作品ほどにグイグイと引っ張られるということはなかった。マスコミじゃなくてもっと全然マンガ業界とかけ離れた仕事が舞台だったらそういう感覚はなかっただろうと思うのだが。

労働と余暇というのは必ずしも二項対立的な概念ではないし、労働実態も非常に様々だ。今後は色んな業界の色んな話を取材して描いてみてほしいなあ。あんなに葛藤だらけの仕事じゃない業界もあるし、葛藤は限りなく減らすスタンスで仕事している人もいるし。んー、やしきたかじん働きマンとかはどうだ。彼は確か週2,3回のテレビ収録で、残りは基本的に全部オフだそうです。そんな働きマンをちょっと読んでみたい。大橋巨泉とか。みのもんたとか。みのもんたはなかなか暑苦しくていい感じかもしれない。

絵は相変わらずパワフルな安野モヨコ絵だ。この人の描く「目」もメッチャクチャにパワーがある。自力で人生つかみとったるで! というパワー。「花とみつばち」で頑張れない男子を叱咤激励し、「働きマン」で働くひとを叱咤激励する。とにかくパワーがある作家さんだなあ。アマゾンレビューで、松方さんは「女を捨ててる」と読んだ人と「女を捨てずに」という読みをした人がいて少々興味深かった。僕は彼女は全然捨ててないだろうと思う。「女として」男性と恋愛して、服着て、出社して、仕事してるしなー。性別を捨てるというのはそう軽軽しくジャッジできないだろうけど、僕としては捨ててはいないと思った。あとこの作品の前提として、仕事が生きがいであり、働いた! と思って死にたい女性が主人公なので、そういう文脈として「仕事のための人生」が肯定されて「余暇のための人生」はそれに劣後しうる、という解釈になるんだけど、一般論としてはどちらも等しい価値のある人生だと僕は思う。「あー遊んだ! 楽しかった!」という人生も素晴らしいものだ。B+