エマ 2巻 森薫

エマ (2) (Beam comix)

エマ (2) (Beam comix)

物語は大きく動きだす、激動の第2巻。クリスタル・パレスで閉じ込められたエマとウィリアムは、満月の下でキスをする。ページのフチを全部黒く塗った「夜」の演出が非常に素晴らしい。情熱を内に秘め、穏やかできれいなキスシーンだった。一方、ウィリアムの恩師でありエマの勤め先であるケリー・ウストナーは足が治らずどんどん体が弱っていく。やがてケリーは死ぬ。ケリーの死後のエマの心情と過去、そして旅立ちを描いた「さよならエマ(前中後編三部作)」は、静かに、深くかなしい。

クライマックス、エマが汽車に乗った駅へと向かったウィリアムが駅に着いたときには、既にエマの乗る汽車は新たな未来へと向かって出発していたのであった。

新たなキャラクターが色々と登場し、にぎやかになってきている。特にウィリアムに惚れている貴族エレノアは、エマとはまた違った魅力を持つ素敵なお嬢さんである。

絵についての雑感。ストーリーは非常にセンチメンタルなもので叙情的なんだけども、いわゆるお目目キラキラの少女漫画とはまた一線を画すものである。その違いとして、「線が太い」というのが一つの原因かなーという気がする。実線がクッキリ強く描かれているので、すごく「強い絵」に感じる。女性でこういう太い線を描くのは、ぱっと思いつく限りでは、森薫日本橋ヨヲコあたりかな。2巻も素晴らしかったです。A