エマ 4巻 森薫

エマ (4) (Beam comix)

エマ (4) (Beam comix)

読んでいてドキドキしてくる作品である。仕事に生きようとし、エレノアと婚約するウィリアム。エレノアの姉、モニカとのやりとりもなかなか見ごたえがあるものだった。「静かな緊張感」というのはそれが破られたときに、ものすごいカタルシスがあるものだ。

エレノアとの婚約発表の場に、ミセス・トロロープ(その正体はウィリアムの父の妻・オーレリアであった!)に付き添いエマもドレスアップしてやってくる。そしてウィリアムはその場でエマを見つける。

思わぬところでの運命的な再開。クライマックスまで溜めて、溜めての再会だけに、情緒たっぷり、非常に爽快であった。最後の10ページ、物語はさらに大きく動き出す! 2人の再会シーンは読んでいた自分もほろほろと泣いてしまった。本当に、きれいないい作品だなあ。

伏線、というわけではないけれど、だったらモニカにエレノアの件で責められたときに、ウィリアムはどうもすいませんでしたとあっさり引き下がるという選択肢もあったわけなのだが、それをせず、あえてエレノアと婚約する道を選らんだという点について、やや十分な説得力に欠けると言えなくもない。惜しいといえば惜しいところかもしれないと思った。

しかしまあこれだけ大人数の登場人物(エレノアの家の人々、メルダース家の人々、ジョーンズ家の人々、ほか)を動かして群像劇としても一級品になっているのは力があるなあと思った。A