イチロー革命―日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代 ロバートホワイティング, Robert Whiting, 松井みどり

イチロー革命―日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代

イチロー革命―日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代

イチロー、野茂、松井、佐々木など日本人メジャーリガーを中心に、日米の野球について多角的な視野から考察した1冊。外国人監督やメジャーリーグの契約システム、審判問題、観客の野球の楽しみ方など、話題は非常に多く興味深かった。若干、日本野球<アメリカベースボール、という価値観が印象付けられてしまっているものの、概ねフラットな視点で日本野球の特性をしっかり書いているのも面白かった。野球の試合そのものもいいけど、野球の試合の舞台裏というか、球団の背景や、野球関係者の個々人のドラマ、物語性という点にスポットが当たっていて、そういうのを読むのは好きなので楽しめた。

「なぜ、日本人のトッププレイヤーがメジャーリーグに行きたがり、日本野球はその流出を止めることができないか」という日本プロ野球の構造的問題、カブレラやローズのホームラン記録更新を阻んだ野球文化、このあたりは引き続き興味深いところなので注目していきたいと思った。あと、メジャーリーガーの給料が超高いっていう問題はどうなんだろうなー。支払われる金銭と言うのはそれに対する需要との関係で概ね決まるけれど、野球選手に10億20億、すごいよなー。そしてそこまでの高額所得者に対して、(観戦に行くなどして)間接的にさらにお金を出して応援する庶民(低所得者含む)なのであった。まあエンターテイメントってそんなもんだと思いますけどね。僕自身は野球を見る<自分でキャッチボールのひとつでもやる、バッティングセンターに行く、という感じなので。B+