ティム・バートンのコープスブライド

チャーリーとチョコレート工場の監督、ティム・バートンと、主演のジョニー・デップのコンビによる作品。成り上がり一家の息子(声・ジョニー・デップ)と没落貴族の娘が、お互いの利益(成り上がりにとっては家柄、貴族にとってはお金)のために結婚を企てる。しかし、内気な性格の成り上がり一家の青年は緊張のためか、教会での誓いの言葉がうまくいえない。練習のために森で一人でその誓いのセリフを言って木の枝に指輪をはめたところ、地面の中からゾンビ化しつつある花嫁が出てきて(ある事情により死んでいる)、喜んでお受けします、と結婚を承諾したのだった。死者とは結婚できない! と青年は色々と奔走するが……というストーリー展開。ストーリー展開のテンポのよさ、人形の表情、動きの素晴らしさといい、非常に高いレベルで楽しめた。ストップモーションアニメの傑作だと思う。シンプルなストーリーながらもしっかり芯がある物語になっているし、死者の花嫁が実に魅力的なのであった。没落貴族の娘も徐々に魅力を発揮するのだけど、この死者の花嫁にはちょっと及ばないかなと思った。愛情が人を(死者をも)救うということ、悪はその悪さゆえに滅びるという価値観、勧善懲悪的王道も良かったです。なんというか「普通にとても面白い」という感じで、しかしこの「普通に」という部分を作り出すために、物凄い計算や労力がかかっているのだなあとしみじみと思った。あと、死者が現世に現れるという世界の設定を効果的に演出するために、舞台は明るい背景ではなく画面全体は灰色をベースにした色調になっているのも、効果的だったなあ。万人にオススメな作品です。