ドラえもんプラス 4巻 藤子・F・不二雄

いや〜もう最高だ。1話目の「百万ボルトひとみ」の冒頭2ページでやられた! F先生の誕生日に発売された4巻であります。相変わらずロックな作品が多いぜドラえもん。笑いあり涙あり、ナンセンスありドタバタありの4巻だった。表紙はドラえもんがドラミちゃんをおんぶしている絵。微笑ましいですねえ。
「百万ボルトひとみ」冒頭2ページの、のび太の顔に対するのびドラのやりとりが爆笑。この作品は中央公論社の方で昔読んだことがあったけど、こんなに面白いものだったとは! 「パチパチ ビリッ」で1コマで効果が現れるのも素晴らしすぎます。この異様なまでのテンポのよさがドラえもんの凄いところの一つだ。「過剰なまでの効果によるギャグ」というのはドラえもんでしょっちゅう出てくるけど、その手法が遺憾なく発揮されております。そしてジャイアンとスネオがのび太をめぐってケンカする下りも笑いまくり。「なんでぼくらがのび太のためにけんかするの」「そういえばそうだ」だはははは。
「みせかけ落がきペン」のび助の「あれっうちの門を通りすぎちゃった」と頭をかきながら笑うシーンがツボ。笑い殺す気ですか。のび助の「ハハ、イッケナーイ」という感じのほのぼのした表情に笑いの神降臨。「自分の家を忘れるとは…」「どうかしてますな、アハハ」。お腹痛い!
「ミニサンタ」ミニカー百台頼んでヨダレをたらすジャイアン様であった。
「風の子バンド」4巻で1,2位を争うほど笑った作品。これはすごい。寒いとか冷たいとかいうとギュウっと頭を締め付けるバンドを、ドラえもんがする。で、つい言っちゃうわけですね。それはいいんです。その後の締め付け行為のオーバー加減、容赦なさ加減が尋常じゃない。「ギュ…」「こんなふうにしめつける。」「イデデエ イデデエ」このイデデエが写植じゃなくて描き文字なんだよね。どんだけ痛いんだっちゅうの。しかもドラえもんの頭部(目から上)がビジュアル的にもグニョって曲がって異様におかしな造形になってるし! やばい、これはやばい。この異様な造形がこのエピソードでボンボン出てくるので目が離せない。ラスト1コマ、もはやドラえもんじゃねえよ! というビジュアルになっているのでこれはぜひ実際にごらん頂きたいと思う。描き文字が「ギュー ピクピク」だし。ピクピクて。
「チューケンパー」冒頭1コマのしずかちゃんのシラケ具合にも注目。目の向きとヒジをついてるのがポイントですな。ブラックなオチは流石に小学校高学年雑誌掲載だけのことはある。これも「異様に効果がある道具」でなおかつ「融通が利かない」パターンですな。ドタバタでやるとこれはギャグになるけど、皆がそれを真に受けてやると非常にブラックな展開になるという例であります。怖い。スネオの「プランクトンを集める道具」も一見の価値あり。多分アレ実際にあるんだろうなあ。
「ウラメシズキン」幽霊のび太の表情が絶品。ジャイアンのおやつがラーメンというのもご都合主義全開で非常によろしい。そしてそのラーメンに幽霊のび太の舌がベチョっと入るシーンの絵が実にナイスです。
ドラえもんとドラミちゃん」「風の子バンド」とともに1,2位を争ったほど笑った作品がこれ。ドラミちゃんに対するのび太の認識が凄い。「いま、なにかしてほしいことは?」「ん……いや、べつにない」「このなやみはあんなチビにうちあけられないよ」と「あんなチビ」扱い。いいのかのび太。あと177ページ2コマ目の、想像しただけで嘆きまくるのび太の表情に注目。たまりやりますな、これも。そして極めつけは選挙運動用「連呼マシン」! あんたこれこの回のためだけの道具だろという勢いのネーミングですが、この効果が爆笑。アンテナを向けられた出来杉としずかちゃんのやりとりが凄い。「ねえ、こののび太野比のび太?」「いや、のび太じゃなくってのび太だよ。「!?」「いやあだ、あたしのび太だなんてのび太だわ。」「ぼくだって、のび太のつもりでのび太のび太。」「どうものび太のび太ら、やっぱりのび太!」嗚呼、ナンセンスここにきわまれり。シュールなコントも逃げ出すぜ!
いやー4巻も笑った笑った。他にものび太のび太がたくさんのび太で、ぜひのび太なので書店でのび太。あ、うつった! A