棒がいっぽん 高野文子

棒がいっぽん

棒がいっぽん

高野文子は、読み手の想像力に挑戦しているような漫画家だなあと思う。しばらく前に読んだ「黄色い本」という作品も、想像力に挑戦するような、迫力のある作品だった。この「棒がいっぽん」は作品集(短編集)である。「美しき町」「病気になったトモコさん」「バスで四時に」「私の知ってるあの子のこと」「東京コロボックル」「奥村さんのお茄子」が収録されている。これはSF的だなーと思ったのが最後の「奥村さんのお茄子」であり、これは想像力をフル活用して読むほかないし、想像するからこそ濃厚に楽しめる作品なような気がする。この「イメージの世界」の豊かさにおいては、日本の漫画家の中では高野文子松本大洋は頭一つ抜けてる存在なのかなあ。あと、モノローグをふんだんに使った作品が多いので、木村紺神戸在住」が好きな人は作風も楽しめると思う。B+