信長 秋山駿

信長

信長

「天才」ではない人間が、その限界に挑み、「天才・織田信長」の実像に限りなく迫ろうとした作品。信長が好きな人は、直感的に彼の天才性を感じ取っているのだろう。そして、その「天才性」とはいかなるものかを、膨大な資料とナポレオンその他昔の英雄の言葉などを元にして、ジリジリと肉薄している。本能寺の変は、起こるべくして起こったのではないかという推測にも十分な説得力を感じた。
井沢元彦の逆説の日本史で信長を取り上げている巻(http://d.hatena.ne.jp/Fujiko/20040725#p2)があるが、そういえばこの本も信長に迫る本としては凄いものだなと思い出した。秋山は「信長公記」を主軸に信長に迫ったが、井沢はそれ以外の資料も使い、同時代人の立場から思考・想像している。手法の違いはあるが、戦国大名としても、政治家としても戦略家としても、織田信長という人間は日本史上頭一つ抜けて、いや、ダントツで「凄い」人間であったという立場は共通しているように思う。
アマゾンマーケットプレイスでは安いっぽいし、文庫版も安価で出ているので、信長好きにはかなりオススメの一冊です。A