ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹 西尾維新

前半和気藹々中盤ハード後半シリアスという展開。最後で殺人事件のトリックが暴かれるが、もはや話の展開としてそこは重要なものではなくなっている。ネコソギラジカル3冊のストーリーの前提となるのが、このヒトクイマジカルだろう。ネコソギにもこの巻で出てきた多数のキャラクターが再び登場しているしな。「縁と運命と世界の終わり」という抽象的なテーマに挑むことになりそうである。

懐かしいキャラも出てきててニヤリとしつつも人が死にまくる展開にドキドキするという感じで470ページ超も一気に読了。お馴染みのマンガからの引用ギャグも冴え渡り、面白かった。主人公いーちゃんの内面にも徐々に変化が訪れ、人間的・精神的に「変化」しようとしている。そしてみいこさんは大変いい女だと思った。作中のいーちゃんとみいこさんの激しい応酬は迫力があった。いーちゃんのブチキレ多弁シーンは滅多に見られないものですな。

さてもさても、戯言シリーズも未読は後2冊となってしまいました。ラストが気になるというよりも、もちろんそれもありますけど、僕はこの舞台設定・群像劇が好きだなあという物語であります。観念的な話も苦手じゃない人なら多くの人が楽しめるであろうシリーズだと思います。A-