ハネムーンサラダ 全巻 二宮ひかる

なんというか、漠然と恋愛+文学的な漫画だなと思った。男性にはよくわからない女性の心理が細かく描かれている。理不尽なのもそのあたりならでは、だろうか。男1人、女2人の不思議な三角関係と、長い長い間思い続けていた恋心。うつくしい物語、というわけではないが、つよい物語だなと思った。アマゾンで「成人向けコミックセット」としてあがっているように、性表現もあってこのあたりの描写はなかなか潤いがあるものだった。「ハネムーンサラダ」というタイトルの意味を終盤で知ったときには「へぇ〜」の一言だった。新幹線等中・長距離移動時間に読むのにいいかも的作品。B

追記
読後感は良かった作品なんだけど、どこかひっかかるものがあった。なんだろうなーと考えていたら、ふと思いついた。ヒロインの一人が小説家なんだけど、彼女の才能があまりにもポっと出ている要素なので、その才能の所在についての描写があまりなく、そこだけ妙に薄いというか、説得力を感じられなかったのだ。ある程度売れる小説家というのは一般的にいってそんなに多くないし、そういう職業を描く場合、「なぜその能力があったのか」と言うことについてもう少し掘り下げてあれば良かったなあと思った。もう一人のヒロインの能力(家事全般等)については、随所にその能力を裏付けたり発揮するエピソードがあるのでこちらは納得いくものだったんだけどなあ。小説家という職業の活かし方がほとんど「自由業」という点と「宣伝のための個人メディア力」という点だったのだった。あ、もっとも、最後はその小説によって彼女自身が救われる、という点もあってこれも非常に重要なんだけども。都合がいいといえばいいが、伏線といえば伏線……なんだろうか。