アドルフに告ぐ 手塚治虫

かなり前に読んだんだけど、久々に夜中一気読み。いやーこれはよく練られたシナリオ的な面白さで、すごいなと思った。3人の「アドルフ」が織り成す、「ヒトラーの出生の秘密に関する重要文書」を巡る群像劇。多数の人間が重層的に絡み合い物語が展開していくさまは、さすが手塚御大だなあというところ。文句無く傑作。大きな中だるみもなく、常に緊張感がある展開で楽しめた。浦沢直樹だったら、この重要文書の内容を最後まで明かすことなく伏線はりまくって終わらせるかも、とちょっと思った。絵については後期手塚絵ということで、けっこうカタイめの印象。あと、女性キャラが皆けっこうなまめかしいのはなかなかいいですな。A-