銀齢の果て 筒井康隆

銀齢の果て

銀齢の果て

筒井康隆最新著作。高齢化社会が著しい昨今、ついに政府は、老人同士の殺し合いを奨励し、これを義務付けた……! そしてついに、主人公の住む街でもシルバー・バトルロワイヤルが始まった! いやあ、筒井康隆は『あいのひだりがわ』や『わたしのグランパ』などここ何年か、老人を主役もしくは重要な役に置いた小説を書いているが、今回は老人達の群像劇。72歳から100歳前後の老人まで、幅広い老人が大活躍する。活躍というか、まあぶっころしあいなんですが。老人らしい心理の運びや行動が大変リアルで、筒井康隆の老いとともにこのジャンルの成熟が伺えるような気がする。中盤以降の老人同士の駆け引きは緊張感に溢れ、ラストの急展開にドキドキする。軽妙なドシャメシャ描写もあり、ああ、かつての読んでて続きが気になりまくりの筒井節が炸裂したなあという感じで嬉しく楽しかった。B+