ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 滝本竜彦

これがデビュー作かー。ググっと一晩で読了。面白かったです。高校生という時期の漠然とした不安感や、他者と違うものでありたいという願望が「謎のチェーンソー男と戦う」というちょっとしたヒーローアクションに繋がっている。冒頭から最後まで主にチェーンソー男と戦う女子高生絵里ちゃんは、彼女は彼女で心に色々なものを抱えている人間である。まあ、主人公の悪友渡辺も、彼は彼なりに色々と思いながら生きている人間である。悩んでる人間ばっかりである。後半、チェーンソー男の強さの謎が少し明らかになるにつれ、終盤からラスト、これどうなるんだろうと素朴にドキドキした。それにしても作者、『NHKにようこそ!』でもそうだが、ほのかな恋愛、あるいはそれは恋愛と呼ぶギリギリ前段階のことかもしれないが、そういう心境を描くのがうまい。恋と呼ぶにはシャイ過ぎる、しかし恋じゃないにしては情熱的過ぎる、というこの気持ち。ラスト以降、主人公と絵里ちゃんのささやかな幸福を祈らずにはいられない物語だった。B+