エマ 7巻(本編は完結) 森薫

エマ7巻

エマ7巻

番外編も連載されているようだけど、本編はこれで完結。7巻というボリュームは長編化する傾向のある昨今のマンガ事情の中で、非常にバランスがいい分量で僕は良かったなあと思っております。7巻というページ数のわりに内容がみっちりしているなというのは、おそらくコマ割のせいでしょう。1ページだいたい7,8コマが高密度で描かれているので、長さとして非常に読み応えがあるものになっている。緊迫した、スピーディーなシーンでもだいたい5コマはある構成で、みっちり読み応えがある。絵自体も描き込みがすごく細かいので、エレガントなドレスや細かいパーツにまでこだわったメイド服など、作者の並々ならぬ熱意とこだわりが感じられる。あと女性キャラが全員若く見える。親すら20代に見えるぞ。

さて本編のスジだけど、とりあえずバッドエンディングではないにせよ、先々の苦労が大いにしのばれるラストとなった。ウィリアム坊ちゃんはあまり魅力を発揮できなかったなあ。この人は結局まだ周囲の人々によって好きなことをさせてもらえている状況であり、自分で汚れ仕事を全て引き受ける(ことができる)状態ではなかった。婚約解消にしても、当事者はいいかもしれんけども結局エレノアさんは非常にかわいそうだし、先方の親や自分の親兄弟にも著しい迷惑をかけていることには変わりが無い。弟妹なんて完全にとばっちりだしなあ。このあたり、エレノアさんに感情的な決着をもうちょっとはっきりつけて、彼女に救いガあってほしかったところ。なにぶん、エレノアさんに非が無い以上気の毒すぎる。番外編でいいことあるのかなあ。

サブキャラとしてはハキム、ドロテアさんが非常にオイシイ。ドロテアさんはミーハー的見地ながらもエマを助けるし、ハキムは終始いいとこどりだ! いいなあ。この無口だが重要なことを為す魅力のあるハキムと、シスコンすぎるモニカとのひそかなアレコレもちょっと期待してしまったりする。

本格派メイドマンガとしての恋愛ものという新たなジャンルを開拓した作者の実力は大変しっかりしたものであるなあ。面白かったです。B+