いけちゃんとぼく 西原理恵子

内容紹介
西原理恵子、はじめての絵本!
ある日、ぼくはいけちゃんに出会った。いけちゃんはいつもぼくのことを見てくれて、ぼくが落ち込んでるとなぐさめてくれる。そんないけちゃんがぼくは大好きで……。不思議な生き物・いけちゃんと少年の心の交流。


ううむ、これは「マンガ」というよりも「絵本」だなあ、これは。もちろん広義のマンガではあると思うけど、判の大きさや全ページフルカラーであること、コマの割方なんかを見ると、絵本の構成とほぼ同じなんじゃないかなと思う。着色ではアシスタントの愛ちゃんも大変活躍されたことなのではないかと思います。西原マンガにおける「愛ちゃんの塗り」というのは、もっと言及されてもいいのではないかしらん。海の絵とか山の絵とか、やっぱりこう「ああ、サイバラの絵だなあ」ってわかるしね、もう。こういう個性は魅力的です。
「ぼく」と共に生活していた不思議な生き物・いけちゃんの正体、謎は最後の最後に明かされる。これはもう「うわーっ」となりました。うわーっとてなって、また1ページ目からぐいぐいと読み返してしまうんですね。「ぼく」の成長を見守るいけちゃんとの関係がじわっとグっときます。子供でも十分楽しめるんでしょうけども、もっと年上、大人ならもっともっといけちゃんに共感できるだろうと思います。その理由を書くとそれこそがネタバレになってしまうのでとりあえず避けますが、「ぼく」の成長というオトコノコの成長譚であることに注目すると、避けて通れない部分がありまして、まあその辺がポイントなのかも。いやあ、しみじみと良かったです。思いのほか癒し系的でもあった。俺はこの絵が好きだな〜。B+