愛にこんがらがって みうらじゅん

愛にこんがらがって

愛にこんがらがって

みうらじゅんが書いた文学、まさに「じゅん文学」である。終盤明かされるご主人様になって欲しいとやってきたM子の正体にびっくり。この「ねじれ」感と疾走する「ドライブ」感が心地よい。一直線にラストまで進む物語は2時間かからず読了できる。主人公・乾の前では基本的に徹底した奴隷であるM子を見て、SMという関係の真髄とは何か、ということをなんだか考えさせられた。SはサービスのSであり、Mの望むことを先回りして思考・吟味して、それを着々となすべき「奉仕する」存在であるという側面。頭の悪い好色の乱暴者では、決してSにはなれないのだ。乾の中途半端さとか、悲しさとかおかしさというのが、同世代である僕にも「なんかわかるなあー」という感じで伝わってきて、それゆえにある種の生々しさがあって迫力があった。身長180センチでスタイル抜群のM子、というのはキャラ立つなあホント。乾が「巻き込まれ型」の人間で、それゆえに起きる悲喜劇が悲しくも面白い。ラストの解説に山田五郎重松清というのはゴージャス! 一読推奨です。B+