マンガに人生を学んで何が悪い? 夏目房之介

内容(「BOOK」データベースより)
青春と恋愛、結婚と育児、そして老いと死。戦後マンガはいかに人生を描いてきたのか?マンガと社会の変化を身をもって体験してきた著者が、コマの構成、描線、余白の働きなど表現の仕組みに踏み込んで読み解く。

マンガと人生。人生における色々な転機、状態と、それを扱ったマンガについて語る。夏目氏の表現論を軸に、戦後マンガが描いてきた幾多の「人生」を見る。マンガの登場人物にも、人生があった。

僕は筆者の半分も生きていないけれども(ゆえに、この本で取り上げられている70年代以前のマンガというのは、読んだものは多くない。むしろ少ないかも……)、この先色々と思うことはあって、今後生きていく上で色々なことを考えるきっかけになりそうな本だった。マンガによって人生を左右される人は、けっこう多い。やりたいスポーツは少年漫画の人気作品で左右されたりもする。その結果、プロレベルまでいっちゃった人なんてざらにいるしね。

ひとときの娯楽であり読む快楽であり、「たかがマンガ」なんて言われちゃったりもするけれど、作者が原稿用紙に込めた煮えたぎるような情念がマンガにはあって、その結果普遍的な価値を物語るものもたくさんある。マンガは面白い。人生はマンガと共に。B+