隠居の日向ぼっこ 杉浦日向子

隠居の日向ぼっこ

隠居の日向ぼっこ

内容(「MARC」データベースより)
ゆたんぽ、手拭、蚊帳、はいちょう…。江戸から昭和の暮らしを彩った道具たち。懐かしい日々を慈しみつつ綴るモノ語り。「江戸の達人」が遺したエッセイ。『朝日新聞』平成12年2月から平成13年1月連載を単行本化。

杉浦さんが亡くなって、しばらく経つ。江戸時代そのものを空気ごと描ける作家さんは、杉浦日向子以降、いまだ不在のままだ。寂しいよう。杉浦作品は、その世界に丸ごと遊びにいくような、そんな感覚がある。ディズニーランドは夢と魔法の国だけど、杉浦作品は、そのまま江戸と粋の世界。着の身着のままふらりと遊びにいって、その世界を存分に味わう。僕は彼女の描く江戸が大好きだ。

この本は、蚊帳、踏み台、へちま、おひつ、ゆたんぽなど、かつて日本の季節の風物詩だったさまざまなアイテムを、ゆったりと紹介しつつ楽しむ1冊。江戸から幕末、明治大正昭和という歴史の流れの中で、かつてはどの家庭にもあったようなアイテムについて読むのは、楽しいひと時だ。B+