蝶々夫人 里中満智子

こちらは里中満智子が描く、名作オペラマンガシリーズ。有名なオペラをマンガで味わえる……のだけど、1冊の中に2,3の作品が入っているという構成になっており、1作1作のページ数はそんなに多くない。手軽に読めるのはいいけれど、その分ストーリーがどうも大味になっており、人物の心情変化の機敏や細かいシーンがかなりあっさりと描かれてしまっているような感がある。映画や本物のオペラを見る際の参考資料的、ダイジェスト的なものとしての位置づけならありだと思うが、個人的にはマンガの力で、マンガそのもので舞台に打ち勝つようなパワーも欲しかったなというところ。作品としての「まとめ方」はさすがベテラン作家だなあと思う「うまさ」があるし、それはいいんだけどさ。どうにも位置づけと評価のバランスがちょっと難しい。

オペラ作品、という前提と「こういうストーリーの、こういうマンガ」ということを総合評価するならB