ショージ君の漫画文庫傑作選 全1巻 東海林さだお

内容(「MARC」データベースより)
正直者で、気が弱く、思い込みが激しくて、どこか抜けている…、愛すべきキャラクターがここに勢揃い! 五・七・五殺人事件、ビールとコーヒー、宴のあとなど、名作100話を収録した永久不滅のサラリーマン漫画決定版。

東海林さだおの作品は、飽きが来ない。味わいが軽やかで読後感がさっぱりしているから、繰り返し読めるし長時間読むこともできる。もっとも、週刊誌に載っているのは数ページの連載が多いので、それほど長時間読むことはできないのだが。

この「傑作選」は自選で100本選んだものが収録されている。サラリーマンっぽいキャラクターが主役のものが多いが、中には浪人生あり、大学生ありとバラエティに富んでいる。どのキャラクターもちょっとお間抜けで情けない人物で、情けないオチがつくエピソードが多い。ブサイクなキャラはゴリラのように描かれ、カワイイとされるキャラはひたすら松田聖子のように描かれるこの極端さもシンプルで良い。こういう飽きのこなさっていうのが、ずっと食べ続けられてしまう美味しい漬物のような味わいになっているのだろう。あるいはカウチポテトのようなものだ。最初の10作品は何と2色カラーだ。東海林さだおの絵の2色カラーというのもそんなにメチャメチャ嬉しいわけでもないんだけれど、まあサービス精神は感じる。

僕が好きなのは「天丼の行方」という話で、昼休みに上天丼を注文していざ食べようとしていた会社員が、電話での呼び出しなどに翻弄され、なかなか天丼を食べることができない。ついには……というエピソード。ショートコントのようなテンポとキレの良さ、オチの情けなさが炸裂していて大変印象深い。「グヤジー」と「アワレ」が入り乱れる100本、さくさくと堪能した。分量は驚く無かれ711ページもある。それでも厚みや重厚感を全く感じさせないのは作風なんだなあ。B+