刀語 第七話 悪刀・鐚 西尾維新

失速はしてないけど低空飛行な感のあるシリーズ、というところかなあ。悪くない、悪くないんだけど、化物語上下2冊と比べるとやっぱり見劣りしてしまうのはなぜか。これ、時代劇にする必要性がどうも低いんじゃないかという気がするんだよなあ。「刀を集める」「因縁のある人物と戦う」のが主軸で、まあそれは構わないんだけどその時代背景として、幕府や将軍家というのを出してもほんとに存在感が薄くなってしまっていて、時代の風俗なんかもほとんど出てこないのがもったいないというか薄いというか。

さて7巻は姉との戦い。最強の相手にどうやって勝つんだ? という一点に絞って描写を続けている。最強なんだから普通に考えて勝てない。そこでどうやって勝つか。とがめの策士っぷりも本領発揮で、タッグとして、チームとしての七花ととがめというものがクローズアップされる。相変わらず会話のやりとりは達者で大変面白いし、この全編漂うやや物足りなさというのを何とかしてくれたら、オススメに挙げられるんだけどなあ。今のままでは、イチシリーズの作品としても人に推しにくいし、時代エンタメ小説としても推しにくいというのが正直なところ。西尾作品なら他のオススメがいっぱいあるなあと思う。B