不気味で素朴な囲われた世界 西尾維新

会話文章に面白みが冴えわたる西尾維新の魅力が存分に発揮された1冊。トリックがあるミステリー的なものではあるけれど、個人的にはそれが安易だとか難解だとかはあまりこだわらないし非常に面白く読めた。

僕が西尾維新を好きなのは「会話の巧さ」「キャラクターの立たせ方」が2大ポイントだ。変わった名前で気を引いて、独白にせよ会話にせよ実に良く喋る登場人物が繰り広げるお話っていうのが本当に楽しい。

本作品は『きみとぼくの壊れた世界』の続編的位置づけとなる本作だが、病院坂黒猫ちゃんが再び出てきたのはとても嬉しかった。ウィットに富んだキャラクターは大変好きだ。本作ではろり先輩、小串姉、ふや子さんなど変てこだけどすごく面白い女性キャラクターが出てきており、彼女らの会話だけでもとても楽しい。ふや子さんの機転の利いた言動や小串姉のウザさもとても良い。

黒猫さんの親戚の病院坂迷路ちゃんもなかなか変わった人だが、あえなく○○ということになってしまったのは少々残念。最後のどんでん返しも驚かせてもらったし、楽しめた。このシリーズも安定供給してくれると嬉しいんだがなあ。戯言シリーズ以外では、『世界』シリーズと『りすか』シリーズと『化物語』シリーズが最も好きだ。B+