3月のライオン 羽海野チカ

3月のライオン 1 (1) (ジェッツコミックス)

3月のライオン 1 (1) (ジェッツコミックス)

3月のライオン読了。

一人の将棋フリークとして、将棋の世界を舞台にした漫画ということでその点だけでも僕は評価するし魅かれる。そして「なくしたものを取り戻す」物語っていうのは、鋼の錬金術師と構造的に似通う部分があり、これも好みだ。主人公のライバル的存在である、二階堂晴信君が作中で解説されているように故村山聖氏がモデルになっているということは、彼はおそらく死ぬのではないだろうか。いつかはわからないがおそらくそうなる。あれだけ自分のキャラクターを愛してそうな作者だが、彼は果たしてどうなるのか。もっとも、村山氏が亡くなったのは29歳くらいだったから、そこまでの年月を描くのかどうかはわからないし、死期も変える可能性もあるが……。

余談というか作品に対する批評的な目線とはずれてしまう話をするが、僕は村山氏と同じ病気にかかっている。いるっていうか、いたことがあるというか、現在は症状はなく凍結状態なんだけども、症状の軽重は異なるが、したがって二階堂君にもはっきりいって他人事とは思えないくらいに関心はある。腎臓病特有の肥満と汗、食事制限の描写など、読んでいて本当に胸が苦しくなる。ただ僕も将棋は好きだったけど、彼ほどにはのめりこむことはなかった。どうしてかはわからない。僕は主にファミコンをし、漫画を読んだ。ドラえもんを好きになった。彼は将棋を指し続け、命を削った。

村山聖 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E5%B1%B1%E8%81%96

絵は相変わらず「楽しげな雰囲気」である。ハチクロ初期には絵全体が淡いムードがあり、線が薄いようなイメージがあったが、今はしっかりと線が濃い。しかしコマ内の情報量がやたら多い。これ、一体なんでなんだろうかと考えたのだが、わかった。小物から人の顔まで、全てが並列的というか、同じ濃さで描かれているからなのだ。コップや猫、ちゃぶ台、衣服にいたるまで、細かい描き込みがある。これはともすれば読みにくさにもつながりかねない要素で、漫画家がこっからさらに成長すると、1コマの中に描くべきものの取捨選択というのがもう少し進むような気がする。まあしかしこの人の場合は、それが画面全体の雰囲気作りにも役立っているので、これでいいのかなとも思う。質感があるし「目に映る全てのものはメッセージ」みたいな価値観でもあるのだろう(か)。猫をフクフクにするっていう表現はいいなあ。A

3月のライオン」連載開始に関するヤングアニマル読者と羽海野チカファンの反応 - どらまん。
http://d.hatena.ne.jp/doraman/20070713/p1

ベルセルクとふたりエッチとキミキスDMC3月のライオンが同居してるからマンガ雑誌ってのは面白いんだよな。女はもっと少年漫画を読み、男はもっと少女漫画を読めば良い。