チンプイ 1,2巻 藤子・F・不二雄

DVD-BOXが発売されているからだろうか、チンプイ - Wikipediaが異様に充実した情報満載。チンプイ久しぶりに読んでみたら当然のごとくやっぱり面白かった。完結していないのが残念だけど、時を経て読むにつれ、これは完結していないのが逆にいいのかもしれないなあとも思えてきた。児童向けの藤子F作品は基本的に主人公は不幸にならないし、その文脈で言えばエリちゃんが最も幸せになる形で完結したであろうと思えるので、そういう点に関する不満は無いのだ。

なんというか、余所の国(星)のおえらいさんに見初められると、人生大変であるなと思う作品である。日本の皇室でも民間人と結婚するという形が最近では多くなったけど、実際問題民間の側の心境というのはどういったものだろうか、などと思いをはせる。

マール星はどことなくアニマル惑星に似てるなーなんて思いながら読んだ。しかし王室のスタッフは色々とすごい。ワンダユウはあの愛らしい容姿でわりと策謀を巡らす臣下だし、次々とルルロフ殿下とエリちゃんの婚姻のために手を打つ行動派である。特殊工作員(!)からファッションデザイナーまで毎回送り込んでくるのはさすがというかある意味怖いというか。内気君をエリちゃんから離すために様々な謀略を張り巡らし実行していくエピソードは、児童向けに止まらないある種の迫力がある。

チンプイも大変かわいい。調べるのが大変かつ今の自分には無理なので詳細な検証はできないのだけど、顔の造型に口の形の表現として「ω」という感じの描き方をしたのはチンプイが初めてなのかな? でも赤塚不二夫作品でもああいう口はあったような気がするので、100パーセントの確証は無く。しかしまあネズミモデルのキャラクターとしては、個人的にはミッキーマウスよりチンプイのほうが僕はかわいいなあ。そもそも大きさの問題として。

あと内木君いいね。好男子である。僕は高畑さんのような人間でありたいと思っているのだけど、内木君は高畑さんが小学生だったらこういう人なんじゃないかと思わせるキャラクターである。藤子先生は、生真面目でやや融通が利かないけれど立派な男子を描くのがうまいなあ。A