ぼく、オタリーマン。 2巻 よしたに

3巻までの出版ペースがえらい早くって、出版社の方針として勢いのあるうちに売るだけ売ろうとかそういうのがあるんだろうかと何となく考えてしまうところ。出版不況と言われている最中、累計65万部突破は凄いことだ。1冊1000円だけど、フルカラーということを考えたら高いってわけもない(が、個人的にはモノクロでいいから半額にして欲しいと思った。フルカラーじゃなければ表現出来ない要素というのは、さほど多くないんじゃないかという感ありで。)

コマ数、セリフはけっこう多めだけど、1回のネタがシンプルなので読むのに時間がかかるということもない。それでも170ページぎっしり詰まってたくさんのネタがあると嬉しいね。読み終えた後の沢山読んだなあという充実感はいい。

ただサイトで1回1回の単発更新をウェブから読んでいるときには何も感じなかったけど、単行本でまとめて読むと、オタリーマンの黒丸目、白丸目がどうも慣れなかった。表紙のイラストの顔は、「かわいいゾンビ」のように少し見えなくもない……。いや、最近のマンガのキャラクターで、こういう目の描き方は独特ではあるんだけども。もっとも、黒丸・白丸目をゴムボールのように色々大きさや円の形を変形させて表情に生かしているところは流石達者だなと思った。目も普通に描かれてる女性キャラクターなんかは、皆なかなか可愛くていいなあ。

ルポ系ネタとして、秋葉原メイド美容室体験マンガが面白かった! 全体的には「オタ」より「リーマン」要素が強い構成になっているのかな。厳密な境界線は引きにくい部分もあるけども、会社、社会人としてのエピソードがかなり多い。過去までさかのぼっての自虐ネタが多くて後半少々読むのが辛くなったが、最後のエピソードでとりあえず「現状肯定」されて救いがあって良かった。個人的にはそこはもう「物語の終わり」として、「自虐の詩」みたいに人生を大肯定しても良かったと思う。もしオタリーマンが3巻4巻とじわじわ続いて大河ウェブコミックとして継続していくならば、ラストは大いに盛り上げて欲しい。B+