真っ赤な東京 常盤雅幸

真ッ赤な東京

真ッ赤な東京

出版社/著者からの内容紹介
これは漫画か文芸か、それが問題だ。抜群のユーモアと尖った言葉の感性が炸裂した、とにかく不思議な漫画世界。新感覚4コマ・エッセイの誕生! この面白さ、クセになります。森博嗣氏投げ込み解説付。

いやー面白い4コママンガだった。なんだろうなこれ。小説すばるに掲載されていたものを収録してある作品で、さすがに元々チェックする守備範囲外だったけど、面白いニオイというのはどこからかやってくるもので、読んでみるとえらい面白かった。絵と言葉両方にユーモアがある。ちょっと変な人たち、ズレた価値観が確かにクセになりそう。ちょっとヒネたところというか、毒っぽいところが小説雑誌を読む文芸フリークの好みにもマッチしそうだなーと思った。

セリフもさることながら、擬音語の使い方がなかなか面白い。「床屋」は4コマのうち言葉のほとんどがカミソリの音だけで構成されているし、その世界はちょっと藤子A先生のブラックユーモア短編を彷彿とさせる。精神的な毒、肉体的な毒の他にも、「わけわからない行為の怖さ」みたいなのもあって、スーパーでいかの塩からをぐちゃっと手づかみで万引きする女とそれを目撃した人を描いた「スーパー」なんか、「うわー」って感じる独特の怖さがある。独特といえば、絵も独特だ。基本的にほとんどの線が太い。テーブルも、顔も、大根の葉っぱも、スーツも、観葉植物も、太い線で強い印象を受ける描き方がされている。220ページ、ギッシリ詰まっていて楽しめる。A-