笑いの現場―ひょうきん族前夜からM-1まで ラサール石井

ううーむ凄い本だ。ラサール石井さん、笑いを理屈で語る語り部としてやはり超一流。ネタの時代→ひょうきん族時代→空気の時代→リアクションの時代→ネタの時代という変遷をリアルタイムで見てきた筆者による語りは、当事者でありながら非常に客観的に分析しており凄いの一言。プロの笑いの見方というものが垣間見える。僕はダウンタウン全盛期に小中学生時代を過ごしたので、あのあたりの空気や感覚はけっこう体感的によく分かる。

そして、125ページから綴られている、第1回M-1グランプリから2007年のサンドウィッチマン優勝までの各組の分析と点数、審査員などについての話が個人的に一番面白かった。この項目をもっと書いて欲しかったくらいだ。笑い飯の運命的な惜しさ、これはなあ。本当になあ。2003年の奈良県立民族博物館、2005年の最終決戦。優勝まで紙一重だった笑い飯。今松ちゃんや紳介さんは、笑い飯をどう評価し、期待しているのだろうか。気になるところだなあ。

最後の「芸人列伝」のページも非常に楽しめた。ビートたけし明石家さんま志村けんとんねるずダウンタウンについてページを割いて色々と書かれており、読み応えがある。さて、ゼロ年代を代表するお笑い芸人で、今後ラサールさんが書きうるのは一体誰かなーと考えるとまた興味深いところです。A