春期限定いちごタルト事件 米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
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内容（「BOOK」データベースより）
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

慎ましい生活を送らんと欲す2人の高校生、知恵の働く小嶋君と、復讐の鬼、小佐内さん。己の特性を生活に出力することなく生きようと思ってるのだけど、色々と事件に巻き込まれたりしてなかなかうまくいかず、今日も日常の事件の謎を解くはめに……という基本設定をベースに、複数の短編からなる1冊。文章のテンポが良く、1作あたりの分量が数十ページとそんなに多くないので、さらりと読める。「人が死ぬ系統」の事件は全く無く（犯罪性のある事件は起こるけど）、捜し物とかちょっとした行動の理由とか、そういったものが主な謎になる。小佐内さんは甘い物が好きで、自分の住む街のスイーツの美味しい店情報を熟知していて、それが本作品のタイトルの元にもなっている。知恵が回る系の主人公というのは近年ではデスノートの夜神君なんかがいるけど、本作の小嶋君もなかなかカッコイイ知恵の回り方をするキャラクターで良い。ココアの入れ方の謎を解く「おいしいココアの入れ方」が特に楽しく読めたエピソードだった。コナンでもありそうだもんな、こういう良くできた小編。B+