夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)米澤穂信

東京創元社 2006-04-11
売り上げランキング : 10942

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫) さよなら妖精 (創元推理文庫) 愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫) 氷菓 (角川スニーカー文庫) 犬はどこだ (創元推理文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。

上の「春期限定……」の続刊。
小佐内さんの恐るべき本性が顔を覗かせる連作長編のような仕上がり。分量的には前巻と同じくらいなのでさくさく読みやすいが、文章中の「ちょっとした違和感」が終盤に収束する展開はなかなか読み応えがあった。

大きな仕掛けが軸になっているんだけども、これ、策略というか策謀によって人に何かをさせる系の仕掛けになってますな。最近読んだところでは、西尾維新の「きみとぼく」シリーズの串中弔士君のようなパターン。自分で作為的に何かをするのではなく、ほぼ不作為によって自分の思い通りに相手を動かすという。しかしまあ青春小説でこういう策謀をトリックとして出すというのもなかなか凄い。トロピカルパフェなんていう甘そうなタイトルとは裏腹に、ラストの後味は、ちょっとほろ苦い。さらなる続刊「秋期限定」も発売するようだし、気になるところです。A-