GOEMON 江口洋介 大沢たかお 広末涼子 ゴリ ほか 紀里谷和明監督

わはははは、面白かった面白かった! 物凄い大盛りで美味しいB級グルメを食べた気分。この手の映像・アクションはとりあえず当分お腹いっぱいです紀里谷監督、というところ。ほんとご馳走様でした。キャシャーンから数年、しっかり面白い時代劇アクションエンタメムービーで良かったです。魅せるビジュアル、映像におけるセンスはやっぱりたいしたものだなあと思う。

石川五右衛門という人物・物語を大胆に換骨奪胎した脚本、マトリックス・300の流れを組む超人ワイヤーアクション&CG、止めと動き、ケレン味たっぷりのバトルと演技はもう目が疲れるくらい楽しませてもらった。紀里谷という男にカネを持たせると、こういう映像を撮るんだなと。特に僕の大好きな映画「300」的なアクションシーンが多かったので個人的にかなり嬉しかった。全体の色調をシーンや人物によって変えるところとか、スピーディーなところをいいタイミングでストップモーションで流すところとか、ほんとケレン味たっぷり、むしろケレン味しかない、圧倒的映像快楽。なので普通のシーンが全然印象に残らない(笑) 普通のシーンは派手なシーンを引き立てるためにあるという要素もあると思うけど、この作品、派手なシーンがメインで普通のシーンはかなり少ないのだ。だったら普通のシーンのほうが印象に残るんじゃないかと思いそうなところだが、相対的にあまりにも地味すぎて残らないのであった。

豊臣秀吉イカレ侵略キャラ、茶々(広末涼子)が地球市民反戦活動家なのはまあこの際面白いからいいよもう(笑)しかし広末の演技は全く特筆すべきものが無い、広末的演技だった。ドラマ「ビーチボーイズ」なんかの頃は、若さゆえの元気いっぱいさみたいなのが画面から感じられたんだけども、この茶々役が広末である必然性は一体何なんだろうか。いや、役者というのは芝居がうまくなくてもそれでいいのだと、広末涼子、この女性はとにかく透明感を持って美しいから良いのだと、そういう方向に思考が傾きつつあるところだ。同様に、江口洋介は爽やかに格好良ければOKで、大沢たかおは不適に格好良ければOKなのである。知らんけど。

まあ戦争反対とか無益な戦いを辞めようとかその辺のテーマやメッセージはもうこれまで色んな作品で幾度となく繰り返されているテーマでもあるから、GOEMONという作品でしか訴えない要素っていうのは感じられなかったところではある。

しかし、そんなことはどうでもいいのだ。この映画はカッコイイ奴が物凄い演出により、ド派手なアクションバトルを縦横無尽にキメまくる作品だ。このスピード感と爽快感、実写版三国無双なのだ! あ、戦国時代だから戦国無双か! そのスピード感と爽快感があまりにも映像的に凄いので、面白いという基準のメーターを振り切って「あー面白かったぁ(映像凄かったぁ)」となるのだ。

五右衛門の過去とか半蔵、才蔵との因縁とか、才蔵の悲しみのドラマとか、あれもこれも涙も笑いも、映像的快感、視覚的快楽のためにあるのだ。史実とか関係無いのだ。あったらすげえ面白いなというパラレルワールドを、紀里谷監督は見事に構築したのだ。安土城も大阪の街も、マンガみたいな荒唐無稽な絵になっている。遊郭では遊女が集団でダンスを踊る。花火が打ち上がりまくる。五右衛門は屋根の上を爆走し、ワイヤーで数百メートルの跳躍を為す。チェ・ホンマンは秀吉を守り、ゴリは意外にもかなり美味しいところをさらってゆく。要潤玉山鉄二も良かった。ほんと石田三成は、どういう作品でも類型的に嫌な奴に描かれるなぁ(笑)

いやー、この監督に500億円くらい渡せば、ロード・オブ・ザ・リングを越える映像を作ってくれるぞきっと。ぜひとも映画館のスクリーンで鑑賞することをオススメしたい作品。B+

GOEMON
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