岡田斗司夫のひとり夜話 大阪第3回

岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ:岡田斗司夫の「ひとり夜話」レポート集。大作です!

第3回まだ書いてない! しっかりせい! とのコメント。すいません!
他のブログ読むと、複数回に分割して書いてる方が多かったので、僕も今後そういう方式にして公表する機会・回数を増やしたいと思った。

携帯百景(ケイタイヒャッケイ)

11月分。難波にて鑑賞。今回は非常に知的エンターテイメント性の高い、エキサイティングな回だった! 岡田斗司夫2.0、オープンアーキテクチャー化宣言もあり、今後も続くであろうひとり夜話の、ある種のターニングポイントになった回なんじゃないかと思うところだ。質疑応答含めて2時間半強、たっぷり味わった。

大きなテーマとしては、

「クリスマスまでに恋人以下・友達以上を見つけよう」〜ぼくたちの恋愛

「人生の意味を教えましょう」〜ぼくたちの洗脳社会2


の2本立て。「人生の意味」論は長丁場の話で面白かったんだけども、もう少し考えてみたいので、前半部分に特化してレポしたい。

岡田斗司夫のなるほど話術

マクラ的つかみとして、「岡田斗司夫の話術」から敷延して、話し方というものは、シンガーソングライターに似ているというお話。これとブログ論と恋愛論がダイレクトにしっくりくる感じで面白かったので、今回はそのあたりに特化して書きたい。 

「岡田さんのしゃべり方って凄いですね」「どうすればそんな風に話せるようになるんですか?」と最近よく聞かれる岡田氏、色々考えてみたところ、トークとはシンガーソングライターと見つけたり、という感じ。

プロジェクターに映し出された、シンガーソングライターの特性は3点、

作詞
作曲
演奏


である。それぞれの要素を詳しく分析すると、話術において

作詞=視点、論理性すなわち事前の準備部分に相当する
作曲=共感すなわち自分の感情のカミングアウト(出力)
ライブ・演奏=演出・テンポ・場数場慣れに相当する

と置き換えることが出来るとのこと。

目から鱗だったのは作曲、感情のカミングアウトという部分。「ああ!」と「ほう!」が混ざった驚き&なるほど納得感。どれも場数を踏むことでパワーアップしていく要素だけど、作詞と作曲については事前に一通り仕上げることができる要素だな。で、感情の出力、例えば好きだ! 嫌いだ! 嬉しい! 楽しい! などの自分の感情をうまく出力すること、これによって人は共感する。そして繰り返し色んな場所で演奏することで、話し方というのは修練される。いやあ、ジャパネットたかたの高田社長の通販話術もこういう鍛錬あってのものだものなあ。

で、作詞作曲を即興で行う演奏、フリートーク的なものはどうなのかというと、作詞作曲に相当する部分は、日々思色んな出来事について、思ったり感じたりしたことをストックしておくということがかなり有益な気がする。ストック方法、いかし方については岡田斗司夫のノート術でけっこう考えたところだ。観た景色や読んだ本やマンガ、好きな歌手や変な買物など、日々ストックできるものは多々あって、そういうものをもう一歩踏み込んで考えたりふくらませることができれば、普通のおしゃべりも存分に面白いものになりそうだ。テレビのバラエティ観て、誰がどういう事言って自分が面白かったのかを考えるだけでも有益かもしれない。話術とブログ論、ノート術がバチバチっと頭で組み上がってまとまって、非常に脳味噌がスッキリした気分だったよー。

個人的には、ガイナックス社長時代にアニメ制作のために色んなスポンサーからお金を集めたときに、スポンサーに対してどういう風に話をしたのかが話術の具体例として聞いてみたかったなあ。

なお、これのブログ編についても語られたが、そのあたりはオフィシャルブログの

岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ:魁!ブログ塾

岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ:魁!ブログ塾(その2)にも詳しい。

ブログの書き方についても、感情のカミングアウトをすることで真っ先に恥をかく、キャラ確立のためには自分の9割を捨てる(アイドルは自分の9割を捨てて存在している!)、など、なるほど連発のお話だった。ブログは「プチクリ」にも繋がる話で、得た感情をブログ記事=クリエイトしたものとして世に公表するという面白さがある。

ほぼ日刊イトイ新聞 - プチクリをめぐる歌。

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この日は岡田氏、途中で「もうノートとってる人の多いこと多いこと(笑)、最前列の人半分以上ノートとってるじゃない!」「もうね、君たちの要求はわかった」「そこに机を用意しよう(笑)」「俺は時折、おいそこ、ちゃんとノートとってるか!?とか聞くから(笑)」と皆のノートっぷりにコメントしていた。いやほんとにノートテイカーが多かった印象。僕は後ろのほうに座ってたんだけど、周囲見渡しても右隣の人と後ろの人はノートとってた。僕はノート持ってなかったかつ「希望者にはレジメあげます」と言われたのでとらなかったんだけど、次回はノート持参すべきだろうか!

恋愛の経済学〜ぼくたちの恋愛2.0〜

さて前半の大テーマ、ぼくたちの恋愛2.0ということで書き進める!

とっかかりは最近話題の「死の婚活女」について。何人ものいい年した社会的地位もある男性が結婚詐欺に引っかかる。挙句に死に追い込まれる、これは一体どういうことなんだろうと。また被害者の一人が有名なモデラーだったこともあり、自分で没頭できる趣味があって人生を生きている人も結婚したいと思う気持ちや、婚活女の容姿等考えてみても、あれを好きになるというのはなんともちょっと腑に落ちない、と。

独身中年男性はどうなるのか?〜意外な市場の豊かさ〜

通っていた整体マッサージの先生との雑談、若い頃は遊んでて、そろそろ結婚したいけど相手がいないんだよ、なんでかなあという中高年の悩みを聞いて先生は一刀両断「50過ぎると真面目だろうが金もってようが、相手の親の介護という現実があり、そりゃなかなか女性からも結婚に踏み切れないよ」とのこと。

結婚したい、彼女が欲しい独身中年男性と職がない、あるいは結婚したい女性、なぜマッチしないのか? 今回の婚活詐欺はそういう隙間を見事に狙った犯罪、ああいう容姿であそこまで成功するという現実。

あの婚活事件について僕が思ったのは、「あれほど金を引っ張る技術がありながら、なんで詐欺あるいは殺人などの犯罪リスクを冒したのか? 水商売でもかなり上位に入るほどの話術、技術があるだろうに」という事。生活レベルを落としたくないという思いで犯罪を冒すというのはハイリスクローリターン過ぎやしないだろうかという事。まあそういう計算が冷静に考えられれば人は犯罪を冒さないのかもしれないけどね。

で、独身中年男性、いわゆるモテない男市場というのは規模としてどれくらいなのか、岡田氏の計算によると、35歳以上の男性うち半分が独身と仮定して、1870万人の独身中年男性がいると。彼らのうち貯蓄しているのが6割で、その6割はざっと1000万円の貯蓄があると。かけ算して、彼らの市場は約1兆1220億円。永久就職も含めて就職を希望する20-24歳の女子が330万人、ワルと1人あたり3400万円ゲットできうる、という試算になる。

この1人あたり3400万円、岡田氏は多いと考えていたようだけど、トークライブ後楽屋では「いや少ない、足りない!」という異論があった模様。このあたりは平均余命と生活費用の兼ね合いで、もう少し煮詰める必要性がありそうかも。

独身中年男性はどうすればいいのか?〜いっそ金目当てでいいじゃん〜

結局の所需要と供給で決まるので、金目当ても良しとしよう! 開き直ろう! というテーゼ。ただしそういうあからさまなぶっちゃけ感を緩和するための理屈がある! 金じゃなくて「守ってくれる人」になろう! ということなのだ。生活とかそういう面倒は俺がみるよと。その代わりなんか安心感みたいなのとかセックスとかそういうリターンをくれよ、と。大学卒業して数年間、専門学校にいったりクリエイティブな職業につくための勉強とかしてる女性は結構いるけど、ぼくらはそういう人の受け皿になれるよ、と。

ではそれには幾らかかるのか? 恋愛市場における男女の需給バランスでコストは決定される。
岡田氏の分析では、要素としては4つあり、順不同で以下の通りになる。

女性の市場価格
A:年齢
B:見た目
C:提供サービス
D:ブランド

男性の市場価格
A:提供環境
B:見た目
C:コミュニケーション能力
D:ブランド

 
なんかこう、RPG世代ドンピシャの僕としては非常にしっくりくるパラメータというかステータス要素というか、非常に面白いと感じた。上の4つの要素は、他が低くても1つ高ければ1点突破出来る要素になっていると。安アパートで暮らして見た目もブサイクでワガママだけど、でもテレビに出てる芸人なのよとか、20歳の女子大生だよとか、ブランド価値が他を制するパターンも十分ありうると。

まず女性の場合、年齢はそのまま何歳かということで、原則として若ければ若いほどいい。このあたりは出産機会・適齢期等も考えるとまあ納得できるかな。見た目もそのまま外見。提供サービスというのは、料理がうまい、凄い床上手、優しいなど、広い意味でのアビリティといった感じか。ブランドというのは本人の属性で、金持ちか貧乏か、職業は何か等にあたる。

男性について、これは女性と同じではない。提供環境というのは、相手に何をどれだけ提供出来るか。ワンルームなのか、もっと広いのか、家具は好きなもの買い与えることが出来るのかなど、生活環境提供能力に相当する。見た目は女性と同じだが、女性は男性ほど見た目に厳しくない。コミュニケーション能力は、話を聞いてくれるとか、一緒にいて楽しいとか安心出来るとか、日々の生活においてコミュニケーション能力がどれほどあるのかという事。ブランドは女性と同じ、職業など。

女性はAとBは基本的に若い頃をピークとして落ち続ける=市場価格の低下、男性は基本的にB以外はアップする。そうやって変化し続ける需給関係で、マッチできるところでお互い満足するのはどうか? というテーゼであった。

具体的な関係性としては、その形態として大きく3種類あり、関係性の強度と提供サービス、そして支払いコストの額で「拡張型家族」として分類される。このあたりはネタバレになるので少し省略。岡田メソッドによると「坊ちゃん」の主人公とキヨも拡張型家族ということになるのであった! 「少年漫画の主人公気分が楽しめる」拡張型家族という提案、どうよ!?という岡田トークであった。

まとめとして、女性の社会進出の変化の歴史の話があって、なかなか面白かった。江戸時代から明治大正昭和中盤までと現代では全く女性の扱われ方が異なる。今のような「年の近い男女が結婚する」という風潮が強くなったのはかなり最近の出来事で、それまでは年の差はむしろかなり大きかったという。そして女性は未亡人になり、若い男性は未亡人の女性と結婚するということがステータスだった時代があったとのこと。明治時代なんかは日清日露戦争などもあって、富国強兵実施のために女性は若く子供をたくさん産めることが重要であったと。現在はそういう重要性は減ってるので、若い人同士が結婚する必要性は一般市民的には減少している。国家政策的には、少子高齢化すると国力が減るので良くないみたいだけども。

家族はさらに拡張するか?

私見だが、恋愛に求める要素に金銭的・精神的・肉体的欲求の3つが絡むとして、男性はあまり金銭的リターンを女性に求める事はないと思うんで、後の2つについて、性欲は風俗でいいや、安心感や癒やしは動物のペットでいいや、という行く末にもなりそうな気配はあるよなあ。またネットが生活空間の一部となった現在、そこに安息や時間的精神的共有を求める事もあるし、それが可能になってきている。

それと、過去の岡田氏著作の「30独身女、どうよ!?」で提示された、これからの独身女性の道筋を併せ考えると、結婚する必要性、必然性みたいなものはこれまでの時代に比べてどんどん減少してきて、岡田氏の提唱する拡張型家族というスタイルも、それが有効であったり必要であったりするのは、絶対数としてはそう多くないんじゃないか、これからは減少傾向に入るのではないかと思った。つまり、拡張型家族すら必要としていない世代人口が今後増えていく中で、需給バランスはまた崩れるのではないか、と。

まあ、今後5年10年くらいは需給バランスがマッチする限り、最大多数の最大幸福の実現のためには確かに岡田案は有効なんかなーやっぱり。

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第3回、こんな感じでレポしてみました!