すぎやまこういちコンサートに見る「僕たちのクラシックオーケストラ」とは?

行ってきました、すぎやまこういちコンサート! 今回はドラゴンクエストIVのオーケストラです。すぎやまコンサートには初参戦。

アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
スクウェア・エニックス 2010-03-04
売り上げランキング : 362

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストV 天空の花嫁 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック(DS版) (SE-MOOK) アルティメットヒッツ ドラゴンクエストVI 幻の大地 アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストIX 星空の守り人 ドラゴンクエストV 天空の花嫁 公式ガイドブック(ニンテンドーDS版) (SE-MOOK)


ドラゴンクエスト スペシャルコンサート
交響組曲ドラゴンクエスト?」導かれし者たち
http://sugimania.com/concert.html
■2011年8月27日(土)  13:15開場 14:00開演
京都コンサートホール
管弦楽京都市交響楽団
■指揮・お話/すぎやまこういち

1. 序曲
2. 王宮のメヌエット
3. 勇者の仲間たち
4. 街でのひととき
5. 勇者の故郷|馬車のマーチ
6. 立ちはだかる難敵

休憩

7. 恐怖の洞窟|呪われし塔
8. エレジー|不思議のほこら
9. のどかな熱気球のたび
10. 海図を広げて
11. ピサロ|ピサロは征く
12. 謎の城 試聴する
13. 栄光への戦い
14. 導かれし者たち

アンコール
フィナーレ(ドラゴンクエスト1
序曲(ドラゴンクエスト9

ドラクエコンサートはもちろん、京都コンサートホールは初めてでした。京都で開催されるということで、何とかチケットをゲットして参加。ドラクエIVはシリーズの中でも小学生の時にやりこんだ作品なので、思い入れもばっちりです。近年、DS版のIVもやったので、ピサロの曲も馴染みがあります。

京都コンサートホール、さすがコンサートホールと銘打つだけあってでかい、ひろい。3階席だったんですが、指揮者すぎやま先生から斜め上真っ正面だったのでまさに「こっちに向かって音が飛んでくる」といった迫力!

携帯百景(ケイタイヒャッケイ)

2つの共通項

いやー良かった。一般的なクラシックオーケストラコンサートとの違いは、ゲームミュージックであるということなんですが、現代におけるクラシックコンサートって、まさにこういうゲームミュージックこそがある意味、マッチしてるんじゃないかというふうにも思いました。というのは、まず「金を出す構造」について共通点があります。伝統的なクラシックの楽曲って、王や貴族に雇われた作曲家がそのクライアントのために製作して、カネを出す本当に限られた人のために演奏された、限られたものだったわけです。

ゲーム音楽というのも、ゲームを買う人がお金を出すから成立してるわけなんですよね。ゲームという余興、娯楽に対してカネを払う。生活において必要不可欠ではないものに対してカネを出すという構造がまさに貴族的、伝統的なクラシックオーケストラの成立と類似しています(出す金額は貴族の時代のそれに比べると微々たるものですが)。

もう一つは「同時代性」。作曲者と同じ時代に生きて、作曲した楽曲が使われているソフトを(多数)プレイしている。これほど思い入れが沸きやすい環境はそうそうない。そしてその作曲者が指揮するオーケストラコンサートならば、それはもう盛り上がる。個々人のそれぞれの思い出が人生に充満してますしね。今回でいうと、観客が皆「かつての勇者、あるいは今なお勇者である者」なんですよ。そしてまさに「すぎやまこういち導かれし者たち」のコンサート! こういった、ユーザーがカネを出して成立する一種のパトロン構造と、同じ時代の空気を吸って生きている同時代性がまさに「現代を生きる僕たちのクラシックオーケストラ」にマッチしてるんじゃないかなと感じました。

すぎやまさん自身は「クラシックを聴く入門として」というコンセプトもこのドラクエオーケストラに盛り込んでいるらしいんですが、その役割は十分すぎるほどに果たしていると思いますねえ。はるか昔、ファミコンの3をプレイした後に、レンタルCD屋でサントラ見つけて借りたらものっすごいかっこよかったんですよね。むろんファミコン版でもサウンドの限界にチャレンジしているんですが、編曲が抜群に凄い。

そして演奏へ

今回も、日本全国から数百人の「世界を救った勇者」が一つの会場に集ってるんですよね。気持ちの入り方がやはりハンパない! すぎやまこういち登場時の嵐のような拍手、そして序曲! 物語の始まりを予感させます。

こういうところにわざわざ音楽を聴くために足を運ぶってのは「ゲーム好き」の域を超えてるわけなんですよね(だからこういったゲーム音楽の祭典に参加する)、なんというか「ゲームと付き合って生きてる人」というか。これだけの人数が、共通体験として同じソフトをプレイしているってのがしみじみと感動してしまいました。

導かれし者たち」はシンプルな勧善懲悪もののストーリーから逸脱した、善とは、悪とはということを問うた作品です。小学校高学年にさしかからんとするときにプレイしてたんですが、1〜4章までは、1章あたり数日かけて楽しんでました。その後も2周目、3周目とプレイしていたので、どの曲も聴いたら一瞬で脳内検索が起こります(笑)モンバーバラの姉妹のフィールド音楽、第5章のフィールド音楽が一番好きかなあ。あと、船のテーマ曲が大きな海を想起させるイメージの曲で、非常に聴き心地が良い。

曲の合間に挟まれた印象的なすぎやまトークを、記憶の新しいうちにメモしておきます。

すぎやま
「IVはトルネコの章が楽しかったね。安いものを買って高く売るという……セコいといえばセコいんだけど、商売ですね(笑) でも、トルネコっていうのは、その稼いだお金を使って、となりの町と行き来が出来るように、トンネルを掘るのに投資するんですよ。そういった社会貢献の要素っていうのも、あるんですね。このあと東日本大震災義援金募金をするんですが、皆さんも小さなトルネコ、小トルネコになってですね、ご協力お願いします(笑)」

トンネルはさらなるビジネス契機拡充のため、というのもあるんですが、なるほど社会貢献も為している。

すぎやま
ドラクエをプレイしていた人っていうのは、もう全国で何千万人もいます。そして、プレイしてた人が、社会の現場、前線で働いている。60歳以上とかの偉い人はあんまりプレイしてないんだけど、30代、40代の人は現場の最前線にいるんですね。そういう人同士の話のネタにドラゴンクエスト、というのが共通の話題になったりもします。野球の話もネタになりやすいですが、関西では阪神がありますからね(笑)。僕は「ドラゴンクエスト」ということで、中日ドラゴンズが好きかなあ、でも阪神もいいよね、なんて言ってます(笑)」

これはまさにそうだよなと。ただ「ゲームをやらない人」というのはほんとに全くやらないってのはあります。まあ、それでもCMや口コミで耳にしたことがあるのがドラクエ知名度のすさまじさなんですが。

あのころ子供だった何千万人の「かつて勇者だった僕たち」は社会の現場の最前線に出てるっていうことなんですよね。もうお前ら全員仲間だよ!パーティーだよ!って言いたくなります。
隣に座ってた20代後半くらいの女性も、もう序曲からずーっと涙ぐんでスンスンしてて、なんという偉大なゲームと音楽なんだ!と再認識しました次第。

アンコールは1のフィナーレ、そして9の序曲。
ドラゴンクエストの初代のラストと、最新ナンバリングタイトルの序曲。2曲連続演奏ではないけど、なるほど、テーマというものはこういうふうに繋ぐんか! と痺れました。

約2時間のコンサート終了後は、上述の義援金募金兼すぎやまこういち握手会が開催され、しばらく並びましたが無事に握手+一言会話が出来て嬉しかったです。僕はドラクエ25周年ということで、250円募金してきました。

「今回はじめて参加したんですが、楽しかったです!」

「おお、はじめてかありがとう! また来てね!」

すぎやまハンドはやわらかくふんにょりしたハンドでした。
御年80歳だそうですが、非常に血色が良くてお元気そうで、また元気にコンサートで指揮していただきたいなと思います。と思ったらチラシに来年の夏、また京都での開催予定が告知されている! 素晴らしい、やる気満々や!!(笑)

交響組曲「ドラゴンクエストIV」導かれし者たち
交響組曲「ドラゴンクエストIV」導かれし者たち

生演奏を聴いてまたCDを聴くと、さらに味わい深いものになります。いいコンサートでした!