ここ一番のアイテムがおべんとう。『高杉さん家のおべんとう』柳原望 1,2,3,4巻

様々な事情から、12歳の従姉妹を引き取ることになった31歳ポスドク就活中の温巳。19歳差の、ほぼゼロからはじまるコミュニケーション。心を交わすカギとなるアイテムは、手作りのおべんとうだった!

高杉さん家のおべんとう 1
高杉さん家のおべんとう 1柳原 望

メディアファクトリー 2010-01-23
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となりの関くん? (MFコミックス フラッパーシリーズ) 高杉さん家のおべんとう 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス) 高杉さん家のおべんとう 5 (フラッパー) 高杉さん家のおべんとう 4 (MFコミックス フラッパーシリーズ)


ポスドク就活中の温巳と従妹の久留里との共同生活ハートフルおべんとうコメディ! 若干のラブ要素も心地よい。1巻中盤以降、色んなフラグが立ってきてメリハリも良い。美味しんぼのような「この弁当を作ったのは誰だぁ!(ドスドスドス)」とかクッキングパパのような「ほんわか〜」とかの擬音はないけどね(笑)

2巻ではなんとか就職を果たした温巳と、孤立しがちな学校生活を送る久留里の関係性がさらに描かれる。研究室の香山(とその義母&娘)、温巳に恋心を抱く小坂、久留里に恋する丸山もキャラが立ってきて多数の三角関係が形成されつつある第2巻でした。こっちの三角関係の要素を強化すればどんどん恋愛ものの作品になっていくところ、あくまでも「おべんとう」で皆の関係性を描いていく方法は素晴らしいです。

第9話「コール マイ ネーム」ではこれまで温巳のことを名前で呼んでいなかった久留里がついに「ハル」と呼ぶんですが(べんとうで!)、これがもう「初めて恋人を下の名前で呼ぶ」感がある描写でものすごいキュンキュン感。家族に「なっていく」、強い人間関係を構築していくという過程をじっくり描きたいんだなというところで、この2人の行き着く果ては愛か別れなのか、まったく予断を許しません!

高杉さん家のおべんとう 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
高杉さん家のおべんとう 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)柳原 望

メディアファクトリー 2011-01-22
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人間関係に幅と奥行きが出てきて、ますます面白い3巻。
タイトルに「おべんとう」が入っているものの、クッキングパパのように食べ物描写に1ページ丸々使うといった描写は一切ないのがなかなか凄いなと思います。おべんとうが描かれるのは、アップでもなく、1話につき数コマ。「○○の作り方」といったレシピ紹介が作中もしくは最後の1コマで紹介されている。しかし第21話「マグロを買いに」に至っては、最後の1コマのみ登場。おべんとうの取り扱いとエピソードのバランス配分が様々なのも見所です。

そして4巻の見所は生徒会選挙とラオス研究旅行編。
温巳と久留里のそれぞれの生活と、2人の生活が交わる時間の描き方がうまい。
温巳はフィールドワークを中心とする研究生活を続け、久留里は中学校生活を送る。他の登場人物もそうだけど、2人のそれぞれの成長の表現が素晴らしい。温巳は経済的独立を何とか果たし「保護者の立場として」久留里の学校生活や進路を見守り、サポートできるようになっていたり、久留里は旅先ラオスで出会ったニイと接することで、自分の進路を考えるようになっていく。ゆっくりと、しかし確実に物語は進む!