時代を駆け抜ける男たちの物語『風雲児たち 幕末編 1〜10巻』みなもと太郎

数ヶ月前に仲の良い友人から借り受け、熟読したもののなかなかアップできてませんでした。
今、21巻まで刊行されておりますが21巻でついに桜田門外の変が詳細に描かれているという進行状況。最終的どのくらいのボリュームになるんだろくか。

というわけで幕末編、まずは1から10巻まで!

風雲児たち 幕末編1 (SPコミックス)
風雲児たち 幕末編1 (SPコミックス)みなもと太郎

リイド社 2002-07-26
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風雲児たち 幕末編1 (SPコミックス)
女医になるため修行するシーボルトの娘イネ、大老就任前の井伊直弼、そして忍び寄るペリーの影。桂小五郎吉田松陰村田蔵六など幕末編のスタートにふさわしいキャストが勢揃い。イネの「あのシーン」は衝撃的でした。幕末編の第1巻ということもあり、作者の気合の入り方がビンビンに伝わってくる第1巻でした!

風雲児たち 幕末編 (2) (SPコミックス)
吉田松陰、脱藩。イネ、出産。2巻では頭角を現し始める直前の岩倉具視が不気味な存在感をアピール。薩摩の動向や、師匠を失った勝麟太郎のこれからも目が離せない。幕末はとてつもなく面白い時代で、読めば読むほど、知れば知るほど今の時代を生きる自分にとって示唆に富むことが多い。それは組織内での人との付き合い方であったり、組織そのもののあるべき姿であったり、個人の志に伴う行動のあり方であったりと様々だが、読後は今日を一生懸命に生きようという気持ちになる。

風雲児たち (幕末編3) (SPコミックス)
ロシアとアメリカが先を競って日本への進出を狙い、ペリーはついに浦賀に到着する。一方、江戸では坂本龍馬桂小五郎が出会い、2人の英雄の未来を感じさせる。幕府は阿部正広の孤軍奮闘状態が以前として続いており、今後の苦しい展開を想像させる。龍馬などの超メジャー級のキャラクターは他でもたくさん描かれているところ、阿部や岩倉、イネなんかは、普通に生活しているだけではやはりなかなか知る機会が少ないところを詳しく描いてくれているのでとてもウレシイです。

風雲児たち (幕末編4) (SPコミックス)
阿部正広の凄まじい勢いの幕政改革は日本を救う一石となるも、佐久間象山の懇親の意見書は一瞥されてゴミ箱へ。同時代人としては佐久間が誰よりも才覚ずば抜けていたと思うところ、本当に理解されない不幸がある。佐久間の有無を言わさない迫力と知見の描写は凄まじかったが、彼の能力、知識、思考を理解しうる「同じレベルの天才」が同時代、同年代、高い身分の人間に一人もいなかったところが佐久間の不幸だなと思う。そしてその孤独の天才たる状況ゆえに性格が頑固であったり敵が多かったりするところも、現代に通じるものがあると言える。

風雲児たち (幕末編5) (SPコミックス)
多忙を極める江川太郎左衛門の活躍、そしてペリー再来! 小笠原諸島の領有権争いはまさに「舌先三寸で領土を奪われる」寸前。必死に欧米に追いつこうとする者、ひたすらに現実に目を瞑る者、混迷極まる幕府はどうなる!? 

風雲児たち (幕末編6) (SPコミックス)
(ペリー暗殺の)渡米のため密航を進める吉田松陰だが、必死の嘆願むなしく、あえなく失敗してしまう。凄いのは失敗してからは逃げることもせず、隠すこともせず、すぐさま自首するという性格。ここは「いかにも吉田らしい」と読者に納得させるだけのボリュームをこれまでに描いているのでしっくりくるんだな。後半は龍馬と岡田以蔵の出会いが描かれる。岡田以蔵の悲しい未来がかいま見えるエピソードとなっており、ほろ苦い。

風雲児たち (幕末編7) (SPコミックス)
プチャーチン大阪来航の描写がボリュームをとって描かれる。この大阪来航、当時はペリー以上の騒ぎだったとは知らなかった! ロシアとの領土問題、龍馬の政治への開眼、安政東海地震津波など、描かれるエピソードはボリュームたっぷり。作者の「あれこもこれ描きたい!」というエネルギーがビシビシ伝わる!

風雲児たち 幕末編 (8) (SPコミックス)
開国そして日本の未来を見据えて長年過労を極めた江川太郎左衛門、55歳にして志半ばで死す! 彼もまた風雲児だった。自分は彼のことを今まで全然知らなかったので、読むエピソードすべて新鮮だった。阿部、イネとともにこの江川も「メジャーに出てこない風雲児」なのかなという気がする。8巻の終盤ではついに福沢諭吉登場。合理性の塊のようなエピソードの数々はさすがというかやはりというか、非常に面白かった。

風雲児たち 幕末編 (9) (SPコミックス)
前巻に引き続き福翁自伝が続き、手塚治虫の曽祖父らしき人物も登場する(このあたりは手塚治虫陽だまりの樹』が詳しい)。海外ではクリミア戦争が勃発し、プチャーチンはついに本国へ。ギャグ関係ではペリーのカツラのエピソードはなにげに新鮮だった。

風雲児たち 幕末編 (10) (SPコミックス)
9巻最後に描かれた安政地震のエピソードが凄まじい。他、5年ぶりに故郷に戻った吉田松陰松下村塾の開校、福沢諭吉が死にかけた話など面白かった。最後には大型台風直撃というまた天災の甚大な被害が描かれる。それにしても大地震が複数回に飢饉や台風など、この時代の天災の多さは一体なんだろうと思う。これは一説には地球規模で軽い氷河期に突入していたということもあったらしいが、それにしてもタイミングも悪い。そしてそれでも時代の流れは止まらず進んでいく!

歴史、幕末フリークなら買っても絶対に後悔しないであろうセットボックス

風雲児たち 幕末編 コミック 1-21巻 セット (SPコミックス)
風雲児たち 幕末編 コミック 1-21巻 セット (SPコミックス)みなもと太郎

リイド社 2012-12-13
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