フライト

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『フライト』鑑賞。アルコール依存症パイロットが主人公で、自分の乗る飛行機が墜落の危機になったとき、天才的な臨機応変の操縦で乗客を救う。いったん英雄視される主人公だったが、やがて墜落の原因調査が開始され、主人公が飛行機に乗る際、アルコールを摂取していたことがわかり…‥‥‥という物語。「人の命を救うということ」「英雄がアルコール依存症であること」「嘘をつくこと」。アルコール依存症がバレて、墜落の責任をとらされ投獄を恐れる主人公に対し、担当の弁護士は主人公に嘘をつかせ、調査を乗り切ろうとする。しかし主人公は、最後の最後に自分の心の弱さを認め、真実を話す。自分を騙して偽って生きるということがイヤになった主人公は、最後の最後で本当の自分の気持ちを話した。社会的な罪を背負い、責任をとることにはなったが、彼はそれをおそれなかった。魂が救われる物語だった。

飛行機が墜落しそうになるシーンは圧倒的な迫力。次から次に的確な指示を出す主人公は非常にカッコイイ。泥酔してドロドロの状態になっていても、コカイン胃発で完全復活。持ち前の天才的な技量で乗客を救った。

圧倒的なスキル、能力を持つ人間がその力をふるうとき、己の中にあるプレッシャー、自分に対する重圧は尋常じゃないものがあると思う。そういった人間が自分の弱い部分をさらけ出すということはさらに並大抵のことではない。であるがゆえに、自分の弱い部分を何かに依存する。女であったり酒であったり賭け事であったり浪費であったり、暴力であったりだ。極めて強度の緊張状態を保ちながら、失敗が許されない局面で生きていくことは恐ろしいプレッシャーである。主人公がアルコールに逃避するのもとてもよくわかる。とてもよくわかる一方で、だからといって会社が、仲間が、社会がそれをすべて許容するかというとそうではない。そして最終的に自分の弱さを認め、乗り越える人間もいれば、弱さに潰されてしまう人間もいる。

そして主人公は、最後の最後に自分の弱さを認めて乗り越えることが出来た。そのきっかけはアルコール依存症を自覚した一人の女性だった。人の人との出会いは、奇跡のようなものだ。本当に非常にギリギリの高度なラインで仕上がった脚本だと思う。面白かった!
B+