彼氏彼女の事情 20巻 津田雅美

彼氏彼女の事情 (20) (花とゆめCOMICS)

彼氏彼女の事情 (20) (花とゆめCOMICS)

雑誌の方では最終回間近の本作、最新刊である。有馬くんの心の闇が存分に描かれ、そこからの脱却のような救いのある展開になっております。基本的にハッピーエンドが好きなんで、登場人物皆が幸せになれるような結末になっていって欲しいなあ。まあ有馬の産みの母親は皆から嫌われてしまっているので、最後どうなるかわからないけど……。そして雪野さんの妊娠が周囲の知るところになり、異様に好意的に迎えられておりこれまた重畳。いやーしかし初期のカレカノとは全然違いますな、雰囲気が。初期の学園物の雰囲気は消え、いつの間にやら「登場人物の過去のトラウマを描く→周囲の人間の協力により救済される→1エピソード消化」みたいなパターンになっており、まとめて読む分にはいいけど、少しずつ読むのは若干くたびれるかもしれないなあ。あとコマ全体が初期より1コマ1コマが大きくなっている。作風が変わると画風も変わるんだなあと思った。次で最終巻か。ハッピーエンドに向かって頑張れー! B+

アクメツ 12巻 田畑由秋 余湖裕輝

アクメツ 12 (少年チャンピオン・コミックス)

アクメツ 12 (少年チャンピオン・コミックス)

アクメツ、週刊誌でやってるだけあって単行本の発刊ペースが早い早い。もう12巻かー、というしみじみ感。この巻では厚生省、薬害関係での悪を滅すべくアクメツ大活躍。ダークヒーローが一回転してヒーローになっているこの構図は凄いなあと思います。社会の公僕であり正しいことをする、という建前の役人が徹底的に悪人として描かれているのが1巻からずっと貫かれており、それを死にながら打ち倒していくアクメツは、やってることは犯罪だけど異様にカタルシスがあるんですなあ。終盤、アクメツの誕生に関するエピソードがあり、こちらの謎もいよいよクライマックスに近づいているのだろうか。次巻も楽しみだ。B+

ヒストリエ 1、2巻 岩明均

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

1、2巻一気読み。単行本がなかなか発売されず、1,2巻同時発売となったのは、やはりこういう作品はある程度の分量のまとめ読みが推奨されるからだろう。ヘウレーカの頃からこの人の古代歴史物は凄く面白いなと思っていたが、案の定ヒストリエも凄く面白かった。紀元前のギリシャを舞台に、アレクサンダー王の書記官、エウメネスの人生を追っていく物語。幼少時代編とでも言うのだろうか。少年時代のエウメネスのエピソードが淡々と、伏線を張りつつ進められている。残酷なシーンも淡々としており、このあたりは寄生獣の頃から変わらぬ作者の画風なのかなという印象。寄生獣よりもテンポもゆるやかで、次の展開へのヒキはあまり強くないけれど、心ゆくまでガッチリ描いて欲しいなあ。大合戦とかも将来的には関係しそうなので、燃えそうである。B+