化物語 上下巻(完結) 西尾維新

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内容(「BOOK」データベースより)
阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった―!?台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANと新たにコンビを組み、あの西尾維新が満を持して放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。

ムチャクチャ面白かった! 西尾維新作品で一番好きかもしれん。「化物」「怪異」を主軸に繰り広げられるストーリー。主人公阿良々木暦と各エピソードのヒロイン的存在となる女子との会話がたまらない。数十ページにも及ぶ会話シーン、いやもうこれだけでニコニコしてくる。軽妙さと愉快さが絶妙。作者の趣味100パーセントってあとがきに書いてたけど、趣味全開にしたらこうなるのか! と驚いた。もう趣味全開で全然OKだな俺は。突っ走って突っ走って猛スピードで駆け抜ける感覚がとても読み心地が良い。この長大な会話シーンはマンガ等でやるとあまり面白くなかったりしてしまうのだけど、西尾作品内で文章でやられると本当に面白いなあ。刀語よりこっちのシリーズを1年間書いてくれたほうが作者も読者も幸せだったのではないだろうか……という気さえしてきてしまうなあ。上下あわせて850ページくらいの分量だけどほんとざくざく読めた。会話部分を再読するのもまた楽し。エロ方面にかなりはっちゃけているのも痛快である(しかし描写として18禁、というわけではないのが何とも西尾維新らしい)。読後感がもなかなか爽やかで、ほんのりハッピー風味なのも良いな。

以下各エピソード感想。

ひたぎクラブ
メインヒロインであるところの戦場ヶ原ひたぎのキャラが強烈。いや西尾作品内のキャラはどれも大抵強烈なんだけども、家庭背景からこういうキャラになった経緯まで読んでいくとなかなか感慨深いものすらある。思考のブラックボックスがありそうで無いような、しかしちょっとあるような性格は面白い。「蟹」に隠された意味。

まよいマイマイ
「見える」「見えない」のギミックが冴え渡るエピソード。八九時真宵は面白い小学生だなーと思った。言うこといちいちアイロニカル。「迷い」がキーとなる迷走ストーリー。蝸牛の怪異ってこういうのかー。

するがモンキー
神原駿河と「猿の手」。作者絶対このキャラ一番好きなんじゃないだろうかと思う。この後にもこのキャラが全部のエピソードに出てくるし、出てくる度に主人公と長大な会話を繰り広げる。内容的にもけっこうハードな内容で読み応えあり。確かにこの造型のキャラは面白い。魅力的なキャラクターが出てくれば、その物語はそれだけで面白くなるんだなあ。いや、このストーリーが悪いということでは全くなくてさ。

なでこスネイク
妹の友達、千石撫子と「呪いの蛇」のエピソード。なんかハルヒに出てくる「ミヨキチ」のような類型の女子だけどあれよりさらに大人しい感じ。神原とのやりとりも見所たっぷりだ。主人公が「頭脳」を担当し、神原が「腕力」を担当する区分が明確になっている印象。

つばさキャット
羽川翼と翼が魅入られた「猫」の物語。羽川さんも家庭背景事情からしてかなり複雑な経緯で描かれている。羽川さんもいい娘さんですな……。つーか主人公がモテまくりなのは相変わらず戯言シリーズいーちゃん」以来の西尾的伝統芸能ですかな。

で、ここまで読んでも、主人公の「吸血鬼」との過去がはっきりとは描かれなかった。描かれることなく物語は結末を迎えてしまったのはなんとも……。こういう「ほのめかし」はあまり好きではないので、吸血鬼「忍」も物語のキーとなっているキャラクターなんだから、1エピソード費やして描いて欲しかったなあ。その点だけ個人的にはマイナス。あとは十分たっぷり素晴らしく面白い。堪能した。登場人物の面白さとストーリーがしっかりしているという点から、この化物語魔法少女りすかシリーズが西尾作品では個人的イチオシになりそう。A

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