パーマネント野ばら 西原理恵子

パーマネント野ばら
パーマネント野ばら西原 理恵子

新潮社 2006-09-28
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いけちゃんとぼく 上京ものがたり ユリイカ 2006年7月号 特集 西原理恵子 はれた日は学校をやすんで (双葉文庫) 女の子ものがたり

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最近の西原作品は、こういうフルカラーの大き目の版で出版されることが多いけど、それは非常に正しいと思う。ほんとに色遣いが魅力的で、いいなあいいなあと思いながら観て、読んでいる。本人が漁港周辺の出身ということもあってか、空や海の色遣いが、特にいい。海にもいろんな色があって、空にもいろんな色があって、西原マンガにはよく海や空や雲の絵が描かれている。夜は黒じゃなくて、青や紫。グラデーションや空間の切り取り方をみているだけでかなりうっとりしてしまう。マーカーなのかなー、クーピーなのかなーと使っている画材を想像するのも楽しい。その上で、他のマンガが描かない、人の心の一歩奥に踏み込んだ巧みな心理描写。やっぱりこの人凄いなあと思う。

貧しい田舎の散髪屋の娘さんたちの、恋と人生の物語。タドン目(「●●」みたいな黒で塗りつぶされた目)でここまで人の感情を描けるのはどんな力量なんだよと感嘆する。女性にとっての恋というものの情報量は凄まじい。そして色遣いと表現力が卓越してる。その色遣いと表現力を持って、自分にしか描けない世界を西原理恵子は描いている、描けているというのは、絵がうまいということに他ならないんじゃないかなあ、やっぱり。とても良い本でした。A-