劇画近藤勇 星をつかみそこねる男 全1巻 水木しげる

劇画近藤勇―星をつかみそこねる男 (ちくま文庫)

劇画近藤勇―星をつかみそこねる男 (ちくま文庫)

今年の大河ドラマ新撰組!」はちょくちょく観ていてけっこう面白いなーと思っていた矢先、水木しげる近藤勇の物語を描いていたではありませんか。偶然図書館で見つけてさっそく借りて読んでみました。これも上の悪魔くんと同じくちくま文庫です。ちくま文庫水木しげる作品がかなりたくさんあって、他にも「ねずみ男の冒険」とかいう作品等がラインナップされており俺としては滅法興味しんしんです。
さてこの作品、550ページくらいの大長編作品です。話は近藤勇が多摩から天然理心流の道場に、養子として引き取られていくところあたりからはじまる。近藤勇は武士として生きたかったようなのだが、その結果としての最期において、彼は幸福だったのだろうか。あと、この作品ではじめて、わりとちゃんと幕末の勢力図というか流れが理解できたような気がした。「ははぁ、こういう流れで新撰組は悲しい末路になったのだなー」という歴史的分岐点がちゃんとわかって、このあたりを魅せる力量は水木御大、さすがだと思う。
近藤勇の妻は馬づらだ、ということがわかったのも収穫。そうなのかー! と軽くびっくりした。あと山南さんの最期もいとはかなし。名前がわかってるキャラはどうしてもテレビのキャスティングを想像してしまうので、常に下から見上げるキラ眼の山南さんを思い浮かべるのであった。
それと、吉村貫一郎という新撰組下級武士の最期も描いてあって、組織のむなしさも描かれてました。いやー、すごい読み応えあるわ、これ。B+