恋風 1〜5巻(完結) 吉田基已

恋風 (5) (イブニングKC)

恋風 (5) (イブニングKC)

イブニングで連載されていた、兄妹の恋愛を描いた作品。設定のハードルがすごく高いのでどういうところに着地するのかと期待と不安を抱きながら読んだ。……やはりハードルを越えることは難しかったようだった。まあ、破綻させずに一つのカタチとして終わらせるにはまずまずの結末にしたと思うんだけども、「最後どうなるんだこれ!」とハラハラして読んだ人にはやや、もしくはかなりの肩透かしになってしまったかもしれないと感じる(なんというか「なんじゃそりゃ!」的な。)。テーマ性あり、途中の展開良し、絵良し、結末微妙……。兄・耕四郎の勤める結婚相談会社の同僚・千鳥が常識的感覚で物事を言って兄妹間の恋愛を認めず否定しているのがだいぶ大きな救いだな。

絵は独特の魅力があるものだと思います。スクリーントーンを使わず、ペンで陰影を描いてるので普通のマンガと絵から受ける印象がだいぶ違います。アップじゃなくてロングショットの絵はどのキャラも非常にカワイイ感じになってて素敵です。うーむ、各単行本の表紙の絵は実にかわいいですな。↓
恋風 1 (イブニングKC)
恋風(2) (イブニングKC)
恋風(3) (イブニングKC)
恋風(4) (イブニングKC)

うーん、ラストさえもっと納得いくものだったならば、兄妹恋愛モノとして頭一つ抜ける名作になっていただろうに。惜しい。「だったらどういう結末なら良かったか」と問われると難しいのだけども、うーん……。見方を変えて、広い意味での一般的な恋愛モノ、として読んだ場合はけっこう評価が変わって、「好き」「いとしい」「愛する」という思いの純度が非常に高くて、その表現も素晴らしくてなかなかいい作品だと思えるんだよね。4巻あたりで、ライバルたりえるような、魅力のある新たな登場人物を出して展開させるという手もあったのかも知れない。B+