1ポンドの福音 全4巻 高橋留美子
1ポンドの福音 (Vol.1) (ヤングサンデーコミックス) | |
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出版社からのコメント
減量もトレーニングも苦手な欠陥ボクサー畑中耕作。シスター・アンジェラへの愛で目覚めて、チャンピオンになれるか!?
高橋留美子のボクシングマンガである。あるいは、ボクシングマンガのテイをしたラブコメである。という分類はまあ別になんだっていいんだ。高橋留美子の高いマンガ力が発揮された作品で、全4巻と短く終わっていてすっきり。こういうのも良いなと思う。
減量やトレーニングが苦手な主人公・畑中と、偶然知り合ったシスター・アンジェラ。アンジェラのために、自分のために、減量やトレーニングをすることができるのか。そして彼女との愛はどうなるのか。ヒロインがシスターという重厚な設定ながら、ノリはいつものラブコメで、まあ教会独自のルールや縛りはあるけれど(シスターは○○してはいけない、みたいな)、それをハードルとして物語は進んでいく。
高橋ラブコメの登場人物は、わりかしバカである。異様に思い込みが激しい、勘違い甚だしい、どんどんすれ違う。笑っちゃうほど豪快にそうなるのである。でもそういうのって、恋愛の一面を強調しているものだと思うんだよね。恋愛すると思い込みは激しくなちがちだし、勘違いしやすいし、誤解やコミュニケーション次第ですれ違いやすい。現実では時に醜くすらある、そういうある種の滑稽さを、高橋留美子はディフォルメしてかわいく描き出す。このマンガでも「そんなことは本人に会って確認せーよ!」とツッコミたくなる状況が何度も出てくるが、彼らはそんな確認はしないのである。オノレの思い込みだけで、燃えたりあるいは挫けたりするのである。そういう、確認作業のすっ飛ばしの妙が、るーみっく技法としてかなり凄くうまい。そういう恋愛群像劇の極みがめぞん一刻だしね。
減量もトレーニングも苦手だっていうのも、ある種の本音っぽくて良い。ボクシングマンガっていうとどうしてもあしたのジョーが出てくるが、初期ジョーみたいな軽い感じのキャラをそのままラブコメにシフトさせると、こんな感じになるのかもしれないなぁと思った。B+
1ポンドの福音 DVD-BOX | |
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