1月9日 岡田斗司夫のひとり夜話 大阪第5回参加レポ その2 完結

記事数的に「岡田」というカテゴリでも作ったほうがいいような気がしてきた(笑)

2時間目 どーなる日本のアニメ業界

今、アニメを見ているメインの層はお金を持ってない人たち。スポンサーがいくらCMをやっても、プラスにならない。今多いCMはパチンコ、ちょっと前はサラ金だった。テレビ、テレビ番組っていうのは、そういう業者ばかりがいっぱい金出してる媒体でしょう、と10年後くらいには言われるようになりそう。昔のオタクのように「あえてアニメを見ていた人」から「アニメしか見るもんがない人」になってくる。結果として、質のいいアニメーションを作ることが無駄になる。

ちょっと論理のはしょりが多いような感じのコメントからはじまったけど、スポンサーサイドから考えるとそういう話の展開にもなるよなあと思った。そして、岡田氏が感じる「アニメ業界やばいんじゃないのかというリアリティ」については

・就職の世話が大変
・まず募集自体が少ない
アニメ会社自体が倒産の危機に陥ってるところもある
・流行の移り変わりが激しく、うつろうスピードが大変早い
・今京アニが調子いいからといって、数年後も良さそうとは全く言えない
・「知価」が高い→作るのが難しい
・ヒット作とうのはランダムに、偶然に出来る要素がとても大きい

という体感的事実を挙げた。これらを踏まえた上で岡田氏のテーゼは

スポンサー+地上波+DVD、なんて展開は諦めよう。
「地域限定アニメ」なんてどうよ? ローカル局の1話50〜100万円の制作費で、スタッフは全員ただ働き。その時点で得られるものはやりがい、趣味の充足。そういう趣味レベルにまで落とさないと、経営がしんどくなる会社が凄く多そう。ご当地限定アニメを作って町おこしやゆるキャラとして生き残る展開はありうるし、コレクターが集めるかも。

というものだった。僕は今アニメ業界全体にどれくらいお金があって、どの程度潤っててどの程度苦しいのか数字では実感できないんだけども、平日ゴールデン枠からはほとんどアニメはなくなってるし、深夜アニメ→DVDで回収という作品が結構あったというのは知ってる。でもってそういう地域限定アニメが見たいのか? といわれると今のところ正直そんなに見る気は出ないなあ。普通は面白そうだから見るのであって、地域限定だから見る、というロジックはかなりのアニメファンなんだろうかと思う。このあたりで8時40分。

僕らもDVD-BOXをあまり買わなくなったよね。最近では涼宮ハルヒの憂鬱けいおん化物語あたり? 平均的には「売れてない」と思うし、業界の沈下はなかなか止められないような気がする。やっぱり地域限定で突破口を見つけるのはありでは? 暗い話でゴメンね!

と締めくくり。これに関しての質疑応答で

Q これからは、個人、趣味で作品を作る人が増えるのでは?

A それを考えるには、似たようなもので考えてみる。ブログが爆発的に流行してどうなったか? 日記化して、最近はツイッター(つぶやき)化している。結局のところ、皆が使いやすいものに落ち着くんだよね。ブログは3秒読めば面白いかどうかわかるけど、アニメは3秒ではわかんない。せめて1分みないとわかんない。となると、そういう個人制作アニメが爆発的に増えても、本数が多すぎて誰もわかんない、見てない状況になりそう。ノイズと正情報の比率はあまりかわんないからね。そして、アニメ制作に関しては、個人が継続して作り続ける栄誉や評価がなかなか得られにくいと思うんだ。

新海誠は滅多に出ない、ということかしら。個人制作でそこそこ面白ければ、ニコニコ動画で数万アクセスもらって賞賛コメントは色々貰えると思う。だけどそれが制作継続へのモチベーションになるか? というコト。「弾いてみた」「歌ってみた」に比べて格段に手間暇がかかるもんなあ。

あとメモに
・ネットはタテに弱い(歴史の積み重ねが弱い)
・ネットはヨコに強い(世間の現在に強い)
・今年の岡田のテーマ、いかに自分の1ヶ月あたりの維持費を減らすか、是ネプロ時代は1ヶ月13万4000円で生活していた。これくらいまで落とせると、ラクに暮らせそう。1つの職種で30万より、10個の職種で3万円ずつ生活できるようにしたほうが生き残りやすそう。
とか書いてる。ふむ。

Q なぜアンパンマンクレしんなど子供向けアニメにいかないのか? また、海外アニメの下請けはどうか?

A その子供向け界隈でもあまり儲からないので、どうせなら評価されたいモノを作りたいと思うのがクリエイターの気質。ドラえもんサザエさんがよく食えて儲かって評価もされるなら、そっちにもっとスタッフや人、金が流れてるのでは。

 海外アニメの下請けも難しそう。日本人のコストは今後下がりそうな中、下請けがどれくらい成立するのか。下請け仕事を受けてノウハウが海外に吸い取られたら、今後はもっとコストが安い国に下請け業ももっていかれるね。そういう国と競争することになったら結局また値下げせざるをえなくなるし、食えないスタッフが増えていくよ。

 しかしアニメ業界って、マンガ業界より全然儲からないねえ。マンガは江川達也クラスですら、いい家、すごい豪邸に住めるのに。江川を友人ということを差し引いて、まあ今の日本でベスト100位以内に入るマンガ家だとしても豪邸。エロマンガ豪邸。しかしトミノは借家住まいなんだよね。嗚呼。

マンガ業界との比較が面白かった質疑応答だった。江川達也が今の漫画家ベスト100位以内に入るんかどうかはようわからんけど、数作品ヒットすると豪邸が立つのはほぼ間違いない。トミノ監督が借家なのは知らんかったけども(笑)。まあお金以外の理由かもしれんしね。

Q ご当地ヒーローというのは今後どうなるか?

A 雇用の創出になるか、といわれるとまだ難しいと思う。ああいうのはまだ市などから援助されて成立してるものだしね。

これはご当地アニメとの関連で出た質問かな。どの質問もカネが回るか、食えるかということを軸に答えていて面白かった。

アニメ業界のオカネを取材した漫画では、鈴木みその「銭」が面白かった。1巻ですね。

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参考
銭 1巻 鈴木みそ - 地球にマンガがある限り!

3時間目 モテとか非モテとかについて

お金とモテの相関関係という話から入って

お金とモテとの相関関係は、そんなにないんじゃないかと思ってるんだ。100億とかそれ以上持ってても、某IT会社社長の彼女はアイドル崩れだし、芸能人と結婚しても忙しかったりで離婚してるし、パチンコメーカーの社長でも、伊東美咲レベルだよ(笑)

伊東美咲レベルというこの絶妙さ加減の評価、すごい笑ったよ。悪くはない、けど……というこのニュアンス! まあ趣旨としては、100億とかそれ以上のレベルでカネ稼いでも、現役トップクラスの芸能人、美女と付き合えるわけじゃあない、そうだとするとカネがモテの要素だとするには限界があるね、という事だな。

感覚的な話だけど、若い子からモテようとするなら、NSCとかのほうがモテるような気がする。世界征服してても、好きな人からモテるのは難しい。
面白い人>人気者>金持ち>支配者、の順だろうね。

このあたりで質疑応答と絡めて論が進む。コードギアスの主人公とかどうよ、という質問については「凄いけど大変そうだよね、人の上に立つ人間は案外公平なんだよ。という公平にならざるをえない。そうしないと、組織やグループを維持できないんだもん。イヤでも人格者になってしまう。好き放題我がままできる人数は、せいぜい2,30人くらいじゃないかな? セックス教団、ミニ宗教の教祖みたいな。」とのこと。続いてバンコランの目力は? などと声があがる。

あるロックミュージシャンの話だけど、それまで全然モテなくて、まあモテたいからミュージシャンになったと。歌手になったらモテモテになったてすごい喜んでたんだけど、モテるにはモテたけど、頭おかしい女ばっかりからモテると(笑) ファンは作家に似るってことだよねえ〜(笑)

岡田斗司夫と繋がりのあるロックミュージシャンといえばあの人しかいないんだけど、まあそれは彼がああいう芸風だからでは……と思わなくもない(笑)

いつも思うんだけど、オトコは少女漫画、オンナは少年漫画をもっと読め! と言いたい。
少女漫画は、色んな人からモテても、基本的に好きな男に対してブレない。少年漫画はモテるとブレる。そして、少女漫画に出てくる男は、ヒロインに対してブレない。少年漫画はヒーローによって最後に救われるのがヒロイン。ヒロインだからこそ、最後まで後回しにされてしまう。大事に思ってるからこそ、最後まで待ってくれると信じてる。

NANAとか最近の少女漫画について、この方程式は当てはまるのかわかんないなという部分もあるのだけど、フォーマット的にバッサリ論じると上記コメントになるのは理解できるところ。

知り合いのモテてる人が言うには、デートのモテは技術であると。クイズのように、好きなセリフを言う。思ってもみないことをペラペラ言う。少女漫画のモテ台詞のストックは山のようにあるので、相手の女性が言ってほしそうな台詞を予想して喋る。するとモテる(笑)

少女漫画のモテセリフが山のようにあると、やっぱり非常に実用的に便利らしい(笑)やってることはほぼゲームだ!(笑)

このあたりで9時36分。あとメモで「モテのエミュレーター」「くさい台詞もスキルがあがってくると大いにアリになる」「好きな女は二の次三の次、しかしそれでいて自分より上位にある、といううしおととら的価値観」などあり。

なんだかんだいって、男は恋愛より上位に「男らしい」というルール(基準)があるんだよね。この行動は恋愛として適切かどうか、という視点より上位に、男らしいかどうか、という評価基準がある。困っている元カノを見捨てられるか? という問題。

恋愛って「あなたのことがもっと知りたい」ではじまって「あんたのことはもうわかってるわ! 飽き飽きよ!」で終わる、期間限定のイベントなんだ(笑)

これにて終了。

個人的には欧米型モテ技術については、この本がすっごい面白かった。日本では使えない技術もあるけど、極めて実用的視点に立った技術解説本。凡百の恋愛指南本よりもダントツで面白いのでオススメ。

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