崖の上のポニョ 宮崎駿 スタジオジブリ

こりゃー面白かった! 個人的には千と千尋ハウルより高く評価したい。身体的、生理的な動作の心地よさが絶妙でした。アニメーションのエッセンスたる「絵が動く」ということを存分に楽しめるし、宮崎監督の創る動画の快楽性に酔いしれた。

ストーリーがストレートでシンプルなボーイミーツガールだったのがとても良かったと思う。ボーイミーツガールっていうかむしろガールミーツボーイだね。ポニョミーツ宗介。宗介に会いたくて行動するポニョと、ポニョを大切に想って助ける宗介。行動原理のシンプルさが気持ちいいし、周囲の人が暖かく見守っているのも真っ直ぐな心地よさがある。

宗介はパズーの幼い頃はこうだったんじゃないかという具合の正当派ジブリヒーローであり、大変利発で勇気があり、また格好良い。にもかかわらず所々で宮崎ギャグを挿入してくるので吹き出しそうになること数回。




ここから一応ネタバレ注意ということで。
























ヒロインたるポニョのビジュアルについては若干の不安があったんだけども(デメキン的人面魚だし)、あれがアニメとして動くととてつもない可愛さになるんだよなあ。キライな相手には水を口から吹きかけるところや、宗介に向かってくるくる宙返りするところがキュートすぎる。また、手足が生えてからの可愛さはちょっと卑怯だろというくらい子供的可愛さ爆発で、波とのカーチェイスを終えて宗介と再び巡り会うシーンは感動した(これは捕まっているところから脱出→波の上を爆走する→宗介を発見するという三段階のプロセスを乗り越えての結果だっったので余計に!)。

主要キャラクターの声のアテは宗介の母親リサが山口智子、父親耕一役が長嶋一茂、ポニョの父親フジモト役が所ジョージだったんだけども、うまい具合にマッチしていた。基本的にはプロ声優が声優をやるべきだと僕は思っているのだけれど、キャスト配置について宮崎駿はもしかすると三谷幸喜的なセンスを持っているのかもしれないと考えるようになった。芸能界ひいては世界に生きる人々これ全てアクターである、という思想でもあるのだろうかしら。僕は山口智子が好きなのでマッチしていてたいそう嬉しかったです。あとポニョの妹たちの声をあてた矢野顕子、これも矢野顕子っぷりが良かったなあ。同じ顔が液体の中に多数あるとエヴァンゲリオン綾波レイを思い出してしまうのだけども。

リサもちょっとドーラ的おっかさんキャラで、冒頭、車で宗介を保育園まで送り職場に行くシーンでも車の運転の荒っぽさが随所に表現されていて、後のカーチェイス暴走の伏線になっている。さらに、リサについては耕一を待ってごちそうを作ろうとしていた矢先、耕一が今日は家に帰れなくなったという連絡があった後ふてくされてしまい、ライトで耕一の乗る船と交信する際に「BAKA BAKA BAKA BAKA……」と延々連発するシーンは爆笑であった。もう! やっぱりこのあたりのハヤオのセンスは子供にも大人にも受けるものがあるなあ。

ポニョがお父さんについて聞かれて「フジモト……」と名字を答えたり、フジモトも妻から「フジモト……」と名字で呼ばれたり公式サイトも「フジモト」だったりこのあたりなんじゃそりゃという不可思議さをほったらかしにしてあるのがいかにも宮崎監督であります。本人的には、んなこたーどうでもいいわと思っているんだろうかなー。

とにかくポニョの動作一挙手一投足が楽しかった。期待値を随分上回った面白さだったし、絵が動く気持ちよさが本当に脳味噌に心地良かった。ハヤオ、やればちゃんと100パーセントエンターテイメント出来るじゃねーか! A

えー、全然関係ないけどこの映画観ると、ドラクエ5の主人公の人生中盤までの悲惨さが本当にしみじみと泣ける。目の前で父親が「ぬわーーーーー!!!!」って殺されてその後10年間激ハードな奴隷生活を送り、ようやく樽で脱出したかと思いきや故郷はモンスターの襲撃に会い滅びきっている。苦難を乗り越え幼なじみを見つけて結婚し、グランバニア王に復帰したかと思ったら出産後夫婦ともども石化。辛すぎる。

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