島本和彦の「逆境に効く歌」論 ラジオより

▼気合いが乗った歌を聴いて気合いが入るうちは、まだ全然逆境じゃない。

▼出口がどこにもない、突破口が見つからない、どこにもいきようがない、誰も助けてくれない、自分も自分を助ける能力がない、どうしたらいいんだ、というときが逆境。そういうときに気合いの入った熱い歌を聴いても、他人事に聞こえてしまう。そういうときに聴く曲とは?

▼まず逆境の底辺にまで着地する。最底辺・最低限から光を求めて出発する。「負けそう」から「負けてない」へ。励まされることに意味や意義や効果があるのはそこから。自分は自分を助けるんじゃなく、人を助けるんだと思うことができれば、視野が広がり自分の行為に意味が発生し、行動することができるようになる。

自分は集中して乗ってるときは気合いソングがハマってなかなかいいけど、考え事やしんどいときは音楽自体聴けなくなる。そこから、ジャズとかクラシックとか声がないものを聴けるようになって、声が乗るのはそこからになる。中島みゆきとか筋肉少女帯は、辛さの肯定をした上で、震えながら戦うという歌がしばしばあってよく聴く。リアリティというのはそういう細部にあるなあと思う。あとウルフルズも結構好きです。