ビッチマグネット 舞城王太郎

ビッチマグネット
ビッチマグネット舞城 王太郎

新潮社 2009-11-27
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獣の樹 (講談社ノベルス) NECK (講談社文庫) SPEEDBOY! (講談社BOX) ディスコ探偵水曜日〈下〉 ディスコ探偵水曜日〈上〉

内容(「BOOK」データベースより)
なんだか妙に仲のいい、香緒里と友徳姉弟。浮気のあげく家出してしまった父・和志とその愛人・花さん。そして、友徳のガールフレンド=ビッチビッチな三輪あかりちゃん登場。成長小説であり、家族をめぐるストーリーであり、物語をめぐる物語であり…。ネオ青春×家族小説。

舞城王太郎『ビッチマグネット』読了。舞城本にしては珍しく、すぐ読み終えた。『ディスコ探偵水曜日』のような驚天動地の世界ではなく、異次元的文章展開もしていなかったからかな。ディスコ探偵は上巻の福井県の屋敷にたどり着いてからの異次元展開にさすがに一度挫折しそうになったが、あれは傑作。話がそれた! 本作も非常に面白かった。面白いっていうか、剛速球の文章力に相変わらずしびれて堪能したなーという感じ。

するするするーっと読み進んでああ読みやすいなあと思っているといきなり時間軸がぐわっと数年間飛んだりしてくるのでこのあたりさすが舞城っていうかやっぱりいつも通りの舞城ワールドですな。それでも異次元世界にまで飛ばないあたり、世界の広がりは物語の収束に向かっていくぶん落ち着いている印象。ビッチのあかりちゃん超怖い! 女性というのは生きてるだけでああいう環境を多かれ少なかれ経験して成長しているのだろうか、だとすると男というのは概ねバカである。いやはや。

現代作家で一番ブンガクしててなおかつ異常な文章力を持ってるのは舞城王太郎だと思う。色んな意味で作家力が強い。物語論、成長譚、恋愛ものとして読んでも面白い。A-