月光条例 29巻

藤田作品の最後の勢いというのは相変わらずとてつもないエネルギーだ。その勢いで私はつい号泣してしまう。うしおととらで皆の記憶がよみがえるあのシーン。太陽とともに戦っていると断言するあのシーン。からくりサーカスでの最後の再会。たまらない。

月光とエンゲキブの最後はどうなるのか。物語の世界はどうなってしまうのか。サンデー紙上で見開き白紙ページという衝撃の演出を見せ、うしおととらも消えてしまう世界。色んな批判もあるようだけども私はこの作品が大好きだ。ラスボス、オオイミ王はビジュアル的には全く魅力的ではなかったが、最終巻で見せた「悪」のあり方にはしびれた。更にその後の月光とエンゲキブの交わすセリフ。一緒に死んでくれるか? 死なせて。第1巻のあまのじゃくな関係から6年。わたしゃ号泣しました。この物語の住人は、いつだって誰かのために全力を尽くす。人のために何かする。無償でする。それがとてつもなくカッコイイ、美しい。30過ぎても藤田作品には感銘を受けまくっているので、そうして受けた感銘を人に伝えることで少しでも自分の人生にプラスしていければいいなと思うところ。シビアな現実世界ではなかなか人のためにできることはない。余裕がもてない。しかし、それでも人のためにするんだという気持ちがまず大事だよなあ…‥‥‥。

そしてなんといっても最後の6ページですね、この作品。月光は月に行ってしまった、皆に会えない、そんなエンドを藤田が許すはずがない。読者が望むはずがない。「サクシャ」が作り出す物語としての「月光条例」がはじまる! という第1巻に続く壮大なスケールの輪廻の物語となって終わるハッピーエンド(の示唆)。赤ずきんちゃんも、シンデレラも、浦島太郎も、皆カッコイイ。図書委員はかわいい。工藤サン大好きだ。鉢かづき姫はどのキャラだったんだろう…‥‥‥。
次回作も少年漫画でぜひともやってほしいと心から願っております。 A

月光条例 29 (少年サンデーコミックス)
月光条例 29 (少年サンデーコミックス)藤田 和日郎

小学館 2014-05-16
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