神罰―田中圭一最低漫画全集 田中圭一

うーむ! 最低だ! 最低すぎて最高に面白い! 一回転して手塚のパロディをやる(しかも強烈にお下品な)というのが斬新で、もうこのポイントを見つけた作者の勝利だろうなあ。このツボだけで高評価したいよ。内容、というか手塚絵の模倣もメチャクチャにうまいし、これどれぐらい練習したんだろうと想像してしまう。絵だけではなく、セリフまわし、オノマトペ、描き文字なども極めて手塚チックで本当にすごい。「最低漫画全集」っていうサブタイトルも実にいいですね。表紙には「お願いです訴えないで下さい!」で、帯には「訴えます!」だし。だはははは。
内容も「愛のイキ先」「局部くん」など、くうだらない下ネタも徹底して手塚的にやるとここまで面白くなるのだなあと終盤は感心した(局部くんは手塚パロディだけではなく、色々な作家のものが入り混じっている)。
表紙カバーの裏にもカラーのマンガが収録されていて、お得感たっぷり(内容も、ブラックジャックとロックと手塚先生が手塚マンガのヒロインを攻略するギャルゲーをやってるというもの! ははは)。そして僕らのF先生のパロディもしっかりありました。SF短編をお下劣下ネタに仕上げていて爆笑した「りる★ドラゴン」。最低さと笑いが濃縮された202ページ。ああ、「くだらなくて実に面白い」ものをたっぷり読んだなーという気分。裏表紙には本を抱えてブックオフに行く(もしくは帰る)女子高生の絵が。わははは。手塚マンガのエロさっていうのは最近かなり語られてくるようになってきたと思うんだけど、本作はその辺をストレートに下品化して描いている感じ。こういう作品も、手塚治虫あってこそ、なのもすごいよなあ、日本のマンガ。A