失踪日記 吾妻ひでお

カラっとした絵でここまで壮絶な話を描けるというのはすごいなあと思う。カラっとしているからこそ、逆にアルコール依存症の恐ろしさが際立ってくる。高い評価を得ているのも納得の作品。ホームレスの生活をカラリと、かつ生々しく描写しているエピソードはまさにこの人にしか描けない領域でもあり、読み応えがある。僕は「今まで見たことのない世界やモノの見方」を描いている作品はとても大好きで、その意味でもこの作品はすごいなと思うし好きである。作者の実体験、という前提事情もあるにせよ、いやはや凄い作品が世に出ているものよ、と思う。巻末のとりみきと作者の対談で、とりみきがこの作品の魅力をめちゃくちゃ適切に述べていて、これもまた素晴らしい。A-